[活躍するロボジョ vol.31]プログラミングの経験を生かし、ロボット制御の研究開発を/タマディック 冨岡京可さん
分からないままやらない
冨岡さんは、タマディックの自動車事業部 ボデー技術部車両設備制御Gr(グループ)に所属する。現在は請負先の自動車関連企業で生技(生産技術)開発の部署に常駐し、生産技術担当として協働ロボットシステムの開発に携わる。
具体的には、協働ロボットに取り付けた3次元ビジョンセンサー「Gocator(ゴケーター)」を使って自動車部品の穴の位置や大きさを精密に測定するシステムの開発を担当する。新しい車種が追加されるたびに、部品のばらつきや穴の位置ずれを補正する必要があるため、協働ロボットのティーチング(教示作業)や、カメラの解像度や露光時間などの撮影パラメーターの設定を一から担当している。
「自動車部品には必ずばらつきがあるため、協働ロボットで設計図通りに組み立てるのは難しいです。部品の穴位置を正確に測定し、位置ずれを補正することで、協働ロボットを使っても設計図通りに仕上げられます。請負先が手掛ける全ての車種の数だけ、一台一台丁寧に協働ロボットシステムを開発しています」と話す。
Pythonがきっかけで
冨岡さんは、幼い時からロボットやプログラムに興味があったわけではなかった。大学は情報理工学部で、システム開発で広く使われるプログラミング言語のJava(ジャバ)やPython(パイソン)などを学んだ。
「大学に入るまではプログラミングに興味はありませんでした。『できるようになったらいいな』くらいの軽い気持ちで大学を選びました」と当時の心境を語る。
しかし、複数のプログラミング言語を学ぶ中で、徐々にその面白さに魅了されていったという。「Pythonは比較的シンプルで文法が読みやすいため、自分に一番合っていると感じました。人工知能(AI)開発で最もよく使われるプログラミング言語なだけに、今後の可能性も感じました」と話す。
大学在籍中、冨岡さんは製造業以外の業種も含めた幅広い業界を視野に入れ、就職活動を進めた。そんな中、Pythonを使ったプログラミングの知識や経験が評価され、タマディックから内定を受けた。上司の自動車事業部ボデー技術部車両設備制御Grの高橋良幸プロジェクトマネージャーは「彼女が大学で培ったプログラミングスキルがロボット制御や画像処理に応用できると考えました」と振り返る。
独自の位置補正技術
真面目で信頼できる人物
高橋プロジェクトマネージャーは、冨岡さんを真面目で信頼できる人物と評価する。
「冨岡さんは本当に真面目で、指示をきちんと頭の中で理解して取り組んでくれます。全てを細かく教えなくても、自分で考えて動いてくれるし、何か壁にぶつかっても、しっかりと解決策を見つけ出す力があります。行動力があり、本当に頼もしいです」(高橋プロジェクトマネージャー)。
そんな冨岡さんが考える自身の課題は「自ら提案や意見を積極的に出すこと」だという。「今は上司や先輩に確認しながら仕事を進めることが多いですが、将来的には自分から『こういう風にしたい』と提案できるようになりたい。また、一つの仕事をトータルで任される人物になりたいです」と意気込む。
週末には心身のリフレッシュや健康維持のためにホットヨガに通う冨岡さん。ホットヨガで集中力と柔軟性を高めることで、日々の業務でも冷静に考え、自信を持って意見を出せるような土台を作っている。仕事での成長と、ホットヨガで培った土台が、彼女を一歩ずつ目標へと近づけている。
(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)