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2024.10.11

イベント

ロボットの導入・運用をより簡単に、都内で複数の展示会が開催(1/3)

9月18日~20日の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで「Japan Robot Week(ジャパン・ロボット・ウィーク)2024」など複数の展示会が開催された。深刻化する人手不足の解決に向け、ロボットシステムの導入や運用をより簡単にする自動化パッケージや周辺機器の他、初公開の新製品も多く見られた。

製造業へのさらなるロボット普及を

 ジャパン・ロボット・ウィーク2024の会場では、ロボットや周辺機器などをセットにした自動化パッケージ提案が多く見られた。また会場で新製品を初披露した出展社も多く、来場者は最新技術に熱い視線を送った。

 産業機械メーカーのスギノマシン(富山県滑川市、杉野良暁社長)は、2つの製品を初披露した。一つはバリ取りロボットセル「RDM-S」で、切削加工時に生じるバリ(縁に生じる意図しない細かな突起)の除去を自動化した。「これまでバリ取り用のエンドエフェクターを販売していたが、それを搭載するためのロボットに関する問い合わせも多くあった。必要な周辺機器も含めRDM-Sとしてパッケージ化し、わが社でセットアップまで担うことで導入しやすくなれば」と第一営業部の江口遼第一営業グループ長は語る。
 もう一つはロボット切削加工用エンドエフェクター「SELFEEDER DUO Robot Edition(セルフィーダ・デュオ・ロボット・エディション)」だ。自動車や航空機など向けの大型ワーク(加工対象物)を、ロボットで切削加工できる。

  • スギノマシンはバリ取りロボットセル「RDM-S」を初披露した

  • 「SELFEEDER DUO Robot Edition」は大型ワークをロボットで切削加工できる

 アフレル(福井県福井市、小林靖英社長)は、教材付きの搬送自動化パッケージ「ワークMagic-1(マジック1)」を出展した。同社で作成した、ロボットの操作などに関するマニュアルや動画の教材をセットにしているのが大きな特徴で、導入後の運用や設定変更などをユーザー自身でできるようにした。
 「製造業でも人手不足の問題はあるが、現状はまだ一定の人員を確保できている状態のため、自動化に着手していない企業も多い。人手不足がさらに深刻化するのに備え、今から自動化を検討すべき」と小林社長は訴える。

 システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のタワシテック(新潟県長岡市、田中晃社長)は台車移動式ロボットシステム「DS-5」をアピールした。工作機械などの各種産業機械と組み合わせて、加工材料の供給などに使う。
 あらかじめ、組み合わせる機械装置側に固定具(ジグ)を付ける。使用時にはジグで台車を固定して、位置決めする。そのため、台車を移動させるたびにプログラムを調整したり、環境に順応させるキャリブレーション作業をする必要がない。
 田中社長は「ロボットはファナックや安川電機など幅広く対応できる。搭載ロボットにもよるが、1000万円以下の提供価格で、簡単に使えるシステムに仕上げた」と話す。

  • アフレルは教材付きの自動化パッケージを提案した

  • タワシテックの台車移動式ロボットシステム「DS-5」

新製品や参考出展が注目集める

双腕型の遠隔操作ロボットシステム「Xトレーナー」を出展(テックシェア)

 TechShare(テックシェア、東京都江東区、重光貴明社長)は中国Unitree(ユニツリー)のイヌ型4足ロボットやヒト型の2足歩行ロボットで注目を集めたが、それだけでなく中国の協働ロボットメーカーDOBOT(ドゥーボット)の新製品「X-Trainer(トレーナー)」も展示した。

 Xトレーナーは研究・教育用の双腕型の遠隔操作ロボットシステムで、手前の黒いコントローラーを手で持って動かすと、奥のロボットが同様の動きをする。手元のボタンでグリッパーの開閉も可能だ。人工知能(AI)に人の動作を学習させるための装置で、その学習にかかる時間を70%短縮できる(同社調べ)。同システムは現在は研究・教育用だが、今後は産業用途への応用も視野に入れる。
 「メーカーが開発したばかりで、日本では初披露の製品。ユニークなシステムだと興味を持つ来場者も多かった」(説明員)

川崎重工業は6軸の協働ロボット「CLシリーズ」を参考出展

 川崎重工業は6軸の協働ロボット「CLシリーズ」を参考出展した。ドイツのNEURA ROBOTICS(ニウラロボティクス)とパートナーシップを結び、同社の協働ロボットをベースにしたもの。可搬質量が3~10kgの4種類を展開する。4種類とも繰り返し精度は±0.02mmを保証し、防じん・防水の保護等級は「IP66」に準拠など、高い性能を誇る。
 これまで、同社の協働ロボットは双腕の「duAro(デュアロ)」だけだった。「CLシリーズ」については発売前の最終的な検証などをしており、準備が整い次第、発売する見込み。

 同社の精密機械・ロボットカンパニーロボットディビジョン長を務める坂東賢二執行役員は「市場では多関節の協働ロボットが一般的になる中、わが社もラインアップに加える必要があり、今回のパートナーシップに至った。ロボットの導入に不慣れな新規顧客や、既存顧客でも簡単な作業の自動化に提案したい」と意気込む。

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