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2021.02.04

調理ロボ市場の開拓に向け、「今年が勝負の時」/コネクテッドロボティクス 沢登哲也CEO

実証実験で有効性を確認

アームの先端を付け替え、多様な作業をこなす

 最初に開発したのは、18年に発売したたこ焼きロボットのオクトシェフだ。

 事業アイデアコンテストに提出したのはたこ焼きを鉄板から皿に移すだけの簡易的なシステムだったが、「現場の負担軽減につながるものを」と、製品化に向けシステムを作り込んだ。

振動で回転させながら焼くが、きちんと回っているかも画像解析でチェック

 オクトシェフは、アーム先端のエンドエフェクタ―を交換しながら、鉄板への油の注入から生地の流し込み、焼けた生地をひっくり返して丸める作業、鉄板からトレーへの排出など、一連の工程を自動でこなす。画像解析でタコの投入漏れがないかなども把握する、複雑で高度なシステムだ。
 「周辺機器も多くてその分コストが高く、どこの店舗でも導入できるものではないが、技術力のアピールにはなり注目を集めた。そのおかげで認知度が高まり、優秀なエンジニアの採用にもつながった」(沢登CEO)。

JRの駅構内の立ち食いそば店で稼動するロボット

 一方、直近の20年に開発したのがそばロボットだ。所定の時間そばをゆで、洗ってぬめりを取り、冷水で締める。最初のそばをざるに入れる作業や、最後の盛り付けなどは人手で行う。エンドエフェクタ―の交換や画像解析などはなく、シンプルなシステムだ。

 昨年3月には都内のJR東小金井駅構内のそば店にそばロボットを設置し、JR東日本グループと共同で実証実験を実施した。そこで省人化などの効果を確認できたため、20年12月にはJR東日本の子会社でベンチャーとの協業や出資を担うJR東日本スタートアップ(東京都港区、柴田裕社長)と業務・資本提携に合意。今後、立ち食いそば店など駅構内の飲食店にロボットシステムを本格展開する。

「密」回避で増える引き合い

「引き合いは増えている」と言う沢登哲也CEO

 同社の調理ロボットは、当初は話題作りを狙って採用されるケースが多かったが、自動化設備としての費用対効果が評価され、通常の設備投資の一環で導入されることが増えたという。

 また、同社は制御のソフトに強みを持ち、自社工場を持たない企業であるため、ハードウエア・機械を得意とするパートナー企業を拡充。全国各地にシステムを納入できる体制を整えた。

 「新型コロナウイルス禍は自動化業界にとってはチャンスでもある。プロジェクトの中止や凍結などもあったが、ロボット導入は密集回避につながることもあり、引き合いは増えている。今年が勝負の年」と沢登CEOは語る。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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