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2018.12.25

大手も参入、ロボ研磨に注目。3Mジャパンが愛知産業と連携【後編】

米国3M(スリーエム)の日本法人スリーエムジャパン(東京都品川区、スティーブン・ヴァンダー・ロウ社長)は、溶接関連の機器を販売する愛知産業(東京都品川区、井上博貴社長)と提携し、「ロボットによる研磨」の市場に参入する。スリーエムジャパンがパートナーに愛知産業を選んだのはどうしてなのか。後編ではその理由を探る。

愛知産業が“選ばれる理由”

「溶接設備だけでなく研磨ユニットもラインアップし、ロボットシステムの導入実績が多い」――。スリーエムジャパン研磨材製品事業部の日西勝事業部長は、ロボット研磨事業のパートナーに愛知産業を選んだ理由をこう述べる。

 愛知産業は溶接関連機器などを販売する技術商社。溶接分野では早くからロボット活用が広まったため、愛知産業はロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)としての機能も備える。また、溶接ビード(盛り上がった溶接痕)を除去するための自動研磨システムにも早くから取り組み、30年以上前に開発した自動倣い機能付き研削装置「AKグラインダ」の導入実績は400件を超える。
 ロボットと研磨の両方が分かるため、ロボット研磨市場に参入する際のパートナーとして最適だった。

ノウハウの結晶

愛知産業の自動倣い機能付き研削装置AKグラインダ「AK-G04」(ロボット搭載型)

 愛知産業のノウハウの結晶とも言えるのがAKグラインダ。押し付け圧力を常に一定にコントロールしながら自動で研削・研磨を行うためのユニットだ。
 研磨対象物の形状に合わせ、自動で正確に追従する。負荷電流を計測してリアルタイムでフィードバックするため、負荷が増大すると自動で停止して砥(と)石やグラインダーの破損を防ぐ。

 溶接ビードの研削や面取り研削、バリ取り、鉄鋼製品の黒皮(表面の黒い酸化被膜)除去、塗膜剝がしなど幅広く使える。30年以上の知見が詰まった製品だ。

 AKグラインダには、直線レールを使い自走式台車で研削する直線自動往復型の「AK-G02」と、ロボット搭載型の「AK-G04」がある。
 AK-G04は、20kg可搬以上のロボットに搭載でき、ロボットのメーカーは問わない。プログラミングにより湾曲部や直角方向、曲線などの複雑な研削ができる。ツールチェンジャーを使えば、グラインダーの多台持ちもできる。

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