[ロボットが活躍する現場vol.42]高いハードルを乗り越えて溶接を自動化/いしぐろ造形工房
いしぐろ造形工房(石川県小松市、金田和歌社長)は、スチール間仕切りや建築金物、産業機械のカバーに使われる薄板の溶接用途で今年2月に協働ロボットを導入した。「製造業は人手を集めにくいが、溶接分野はその傾向が顕著」と金田社長は言う。人手をロボットに置き換えるだけでなく、作業効率を向上できるよう改良を続ける。
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いしぐろ造形工房(石川県小松市、金田和歌社長)は、スチール間仕切りや建築金物、産業機械のカバーに使われる薄板の溶接用途で今年2月に協働ロボットを導入した。「製造業は人手を集めにくいが、溶接分野はその傾向が顕著」と金田社長は言う。人手をロボットに置き換えるだけでなく、作業効率を向上できるよう改良を続ける。
カトウ(川崎市中原区、加藤欣吾社長)は製缶や板金、切削加工などを得意とする企業で、近年はシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)事業にも力を入れる。これまで自社工場の溶接工程の自動化などに取り組んできた。今年6月には自社工場で稼働するロボットシステムをパッケージ化して外販するなど、積み重ねた自動化のノウハウをSIer事業に生かす。加藤社長は「製造業にはロボットを導入したいが使い方が分からない、との悩みを持つ企業は多い。わが社の経験を生かし、そうした企業の自動化に貢献したい」と語る。
産業機械メーカーのスギノマシン(富山県滑川市、杉野良暁社長)は板金加工の現場向けに「溶接ロボットシステム」と「カエリ取りシステム」を開発し、今年7月から受注を開始した。両方ともパッケージ仕様のロボットシステムで、ティーチング(動作を覚えさせること)に手間をかけることなく溶接作業やバリ取り作業を自動化できるのが特徴だ。同社は産業用ロボットと自動化システムの専門展「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)2024」に出展し、両システムを披露した。
パナソニックグループで事業者向けのソリューションサービスを担うパナソニック コネクト(東京都中央区、樋口泰行プレジデント兼最高経営責任者<CEO>)は、溶接ロボットシステム製品の提案や顧客の課題解決の場として「プロセスエンジニアリングセンター(PEC)」を設ける。「さまざまな溶接に対応する工法や溶接条件を開発し、機器にフィードバックすることで、溶接機器メーカーとしての特徴を出すことに注力をしてきた」と熱加工システム総括部業界マーケティング部プロセスエンジニアリング課の佐藤公哉マネージャーはいう。PECでは溶接機器に特化したメーカーならではの提案が見られる。
溶接に関する展示会「2024国際ウエルディングショー」が4月22日~25日までの4日間、大阪市住之江区のインテックス大阪で開かれた。新型コロナウイルス禍による開催中止を挟んだため、大阪会場での開催は8年ぶり。会期4日間で計10万307人が来場した。今回のテーマは「人・文化・技術をつなぐ溶接・接合,切断の新潮流」。前回展でもロボットを使った自動化の提案が目立ったが、今回展では協働ロボットを使った自動化システムや、簡易なティーチングシステムなど、自動化システムの導入障壁を低減する提案が数多く見られた。
グローバルコネクト(神奈川県厚木市、高木宏昌社長)は、幅広い分野で自動化システムを手掛けるシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。画像解析ソフトウエアを自社開発しており、ロボットで部品を組み立てながら取り付け位置などを検査できるシステムを構築した。パッケージ化した溶接や研磨の自動化システムも販売しており、現場の自動化を支援して人手不足の解決に貢献する。
2023国際ロボット展(iREX2023)の見どころは何と言っても、ロボットメーカー各社の最新の自動化提案だろう。ロボット業界のトレンドの一つに「ソリューション提案」があり、最近はロボットの単体売りから周辺機器やデジタル技術などと組み合わせたソリューションへと提案の軸足を移すメーカーも増えている。今回展でも主要各社による最新のソリューションを間近で体感できるはずだ。
不二越は高速、高精度なロボットを活用し、多様な自動化ソリューションを提案する。産業用ロボット「MZシリーズ」を改良し性能を高めた「MZ Fシリーズ」をベースに、ユーザーのニーズに合わせた製品のラインアップを広げている。2023国際ロボット展(iREX2023)では今後の需要拡大を見込む協働ロボットを中心に、生産性の高い自動化デモを披露する。省スペースで複雑な作業の自動化を実現し、生産現場でのロボットのさらなる普及を狙う。
フジムラ製作所(埼玉県川口市、藤村智広社長)は今年6月、ティーチング(教示)作業を人工知能(AI)で自動化した溶接ロボットシステムを稼働した。加工対象物(ワーク)の形状が変わるたびに技術者がティーチングする必要がないため、多品種少量生産にも適用しやすい。比較的容易な溶接を自動化し、熟練の溶接工が難易度の高い仕事に集中できるようにするのが狙いだ。今後はバージョンアップを重ね、年内には容易な溶接の大部分を同システムでカバーできる体制を整えるという。
ダイヘンと輸入商社の愛知産業(東京都品川区、井上博貴社長)、米国3M(スリーエム)の日本法人スリーエムジャパン(東京都品川区、宮崎裕子社長)の3社は6月22日と23日の2日間、研磨作業の自動化をテーマとした展示会を愛知県長久手市のダイヘン中部テクニカルセンターで開催した。