[SIerを訪ねてvol.49]何も分からない状態から積み重ねた経験/カトウ
金属加工向け自動化パッケージ発売
初めての導入時の苦い経験
自動化パッケージの外販をはじめSIer事業に臨む背景には、同社が初めてロボットを導入した際の苦い経験があるという。加藤社長が会社を引き継いだのは2014年。当時の工場は古くから稼働する機械がほとんどだった。「このままでは世の中に取り残される」との危機感を持った加藤社長は、16年までにMCや数値制御(NC)旋盤、三次元測定機など新規設備を立て続けに導入し、それまで外注していた切削加工を自社でもできるようにした。
その後17年に生産工程の自動化を狙い、初めて産業用ロボットを購入したが、ある問題が発生した。「ロボットの動かし方が分からなかった」と加藤社長は振り返る。「当時はまだ情報も少なく、ロボットを購入した商社に問い合わせても分からなかった。近隣に頼れるSIerもおらず、結局動かせないまま約一年が経過した」と言う。
しかし、加藤社長はそこで諦めなかった。取引のあったロボットの周辺機器メーカーに相談したところ「せっかくなら自身で使い方を覚えてみては」との助言があった。ロボットを扱うための知識はほとんどなかったが、少しずつ学んでいき、安全講習も受けた。自動化したい作業を整理してまず溶接の自動化から着手し、それが完成した後に工作機械へのワーク供給を自動化するロボットシステムを構築した。
加藤社長は「ロボットを導入したいが使い方が分からない、との当時のわが社と同じ悩みを抱える企業は製造業に多い。悩みながらも工場の自動化に取り組んできたわが社の経験を生かし、そうした企業の課題解決に適切な提案ができれば」と語る。