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2020.07.29

ドイツ・中国の協働ロボが日本に上陸!/リョーサン【前編】

半導体や電子部品、電子機器を扱う商社のリョーサンは、今年1月から産業用ロボットの輸入販売を始めた。扱うのはドイツのFranka Emika(フランカ・エミカ)と、中国の新松機器人自動化(新松)の協働ロボットだ。同社が両ブランドの協働ロボットを選んだ決め手とは――。

人手不足に着目

「協働ロボットなら強みを生かせる」と萩山公晴プロジェクトマネジャー

 リョーサンは、今年1月から産業用ロボットの輸入販売を始めた。安全柵なしで、人と同じ空間で稼動できる協働ロボット事業を展開する。

 「新規事業を模索する中で、少子高齢化などにより今後ますます深刻化する人手不足に着目した。いくつかの事業案を検討したところ、協働ロボットは今後の市場拡大が期待でき、リョーサンの全国的な販売ネットワークや技術部門を持つ強みを生かせると参入を決めた」とソリューション事業本部の萩山公晴プロジェクトマネジャーは言う。

ドイツ未来賞に輝くベンチャー

フランカ・エミカの協働ロボット

 同社が協働ロボット市場への参入を検討し始めたのは2018年。当時既に、複数のロボットメーカーが協働ロボットを開発、販売していたため、それらと差別化でき、日本にまだ代理店がない製品を探した。
 さまざまなロボットメーカーを調査するなかで見つけたのが、16年に創業したドイツ・ミュンヘンの協働ロボットメーカー、フランカ・エミカだった。ドイツ航空宇宙センターの技術をベースに、ハノーファー大学の教授(当時)などが立ち上げたベンチャー企業だ。

 「全ての関節にトルクセンサーを搭載し、軽く接触しただけで停止する安全性の高い製品。他の協働ロボットの多くは、アームが人体にぶつかった際に停止はするが、衝撃を伴う。フランカ・エミカなら接触時にそうした衝撃がない」(萩山プロジェクトマネジャー)

専門知識がなくてもアイコンを並び替えるだけで操作できる

 操作も簡単で、専門知識がない人でも、パソコンやタブレット上でアイコンを並べるだけで動作プログラムを作れる。アームを手で動かして動作を記憶させるダイレクトティーチングにも対応する。

 ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー大統領から「ドイツ未来賞」を授与されるなど、権威ある賞をいくつも受賞する。

 昨年開かれた「2019国際ロボット展(iREX2019)」で展示したところ、「海外のウェブサイトで見たことはあり気になっていたが、実物を見るのは初めて」「日本に代理店があるとは思わなかった」などの反応があったという。

中国トップクラスのメーカー

幅広いラインアップがそろう新松の協働ロボット

 リョーサンが扱うもう一つのブランドが、中国の瀋陽市に拠点を置く新松だ。

 「中国科学院の技術者らが創設した、中国でもトップクラスのロボットメーカー。6軸と7軸の機種があり、最大可搬質量20kgまでの幅広いラインアップをそろえる」と萩山プロジェクトマネジャーは話す。

新松のロボットもダイレクトティーチングに対応

 欧米や日本のメーカーと比べて価格は安価だが、繰り返し精度±0.02mmと動作精度は高い。
 フランカ・エミカ同様、新松の協働ロボットもダイレクトティーチングに対応する。減速機などの基幹部品は日本製で、世界30カ国以上で導入実績を持つ。

 前編ではリョーサンが協働ロボット市場に参入した経緯や、取り扱うメーカーを中心に紹介した。後編では、協働ロボットをどう提案するのか。特徴を生かした使い方などを解説する。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)



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