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2020.08.05

[5日間の夏期集中講座vol.3]ここだけは押さえたい!産業用ロボットのきほんの「き」/ロボットの種類

産業用ロボットのウェブマガジン「ロボットダイジェスト(ロボダイ)」の「5日間の夏期集中講座」も折り返しの3日目を迎えた。今回は産業用ロボットの主な種類を取り上げる。塾や予備校の夏期講習でも3日目になると中だるみしやすくなるが、今回は「垂直多関節ロボット」「スカラロボット」など産業用ロボットの基本的な内容が多く、ここだけは押さえたい――。

大きく4種類の構造に分かれる

垂直多関節ロボット

 2日目は産業用ロボットの市場規模を解説したが、そもそも産業用ロボットにはどのような種類があるのだろうか?
 構造や動作入力の方式などで、産業用ロボットはさまざまなタイプに分けられる。構造で分類する場合、代表的なものには以下の4種類が挙げられる。

 ①垂直多関節ロボット
 ②水平多関節(スカラ)ロボット
 ③パラレルリンクロボット
 ④直交ロボット


 垂直多関節ロボットは人で言う肩や肘のような関節があり、人の腕と同様に複雑な動きができるロボットだ。人の腕の動きは、肩関節を使った水平方向と垂直方向の回転、肘の曲げ伸ばし、手首の回転など、7つの回転軸の組み合わせで表現できる。垂直多関節ロボットは一般的に6つの回転軸を持つタイプが多いが、中には4軸や5軸、7軸のものもある。

 「産業用ロボット」と言った場合、多くの人がまずイメージするのが垂直多関節ロボットだろう。ロボットの用途として大きな比率を占める溶接や塗装にもこのタイプが使われる。汎用性が高く、物流拠点や部品加工の工場などのさまざまな現場で活躍している。
 制御軸数が多いため複雑な動きができ、腕を折り曲げれば狭い場所でも効果的に使える。しかし、軸数が増える分、プログラムの作成も複雑になり、使いこなすのが難しくなる。

スカラロボット

 スカラロボットは水平方向の2つの回転軸と、垂直方向の1つの直線軸で構成されるロボット。この3軸に加えて手首にも水平の回転軸を持たせた、4軸タイプの製品が最も一般的だ。
 物をつかみ上げる場合、水平方向の軸回転の組み合わせでロボットハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを上下させる。斜めや横方向からも物をつかみに行ける垂直多関節ロボットとは違い、スカラロボットは真上からの作業しかできないが、水平方向への柔軟性と垂直方向への剛性(変形のしにくさ)を両立できるため、部品を押し込んで組み付ける組み立て作業などに向く。

 スカラは「Selective Compliance Assembly Robot Arm(選択的柔軟性組み立てロボットアーム)」の頭文字を取った「SCARA」に由来する。価格は垂直多関節ロボットに比べて安価で、1970年代後半に山梨大学の牧野洋教授(当時、現名誉教授)らが中心となって開発した。

 パラレルリンクロボットは、2本セットのアーム3対または4対で1つの先端を支持するタイプのロボット。先端には対象物を吸い付けて搬送するための吸着ユニットなどが取り付けられる。 
 細くて軽量なアームでも十分な剛性を確保できるため、非常に素早い動作ができる。ベルトコンベヤーの上などにパラレルリンクロボットを取り付け、流れてくる製品を高速でピックアップして仕分け・搬送できる。

 直交ロボットは直角に組み合わせた直線軸からなるロボットだ。直動案内機器とボールねじで構成された1軸動作のユニットを組み合わせてロボットを構築する。1軸(単軸)、2軸、3軸、4軸、6軸と、用途に応じて軸数を増やせる製品もある。
 直線軸だけで構成されるため複雑な動作には向かないが、最もシンプルで価格も安いのが特徴だ。

 これら4種類のロボットの他にも、1つの土台に2本のアームを付けた「双腕ロボット」と呼ばれるタイプもある。両手で箱を持つなど、1本のアームだけではできない動きが可能になり、人の作業をそのまま置き換えやすいのが特徴だ。
 垂直多関節ロボットのアームを2本搭載したタイプが多いが、中にはスカラロボットのアームを2本付けたものもある。

  • パラレルリンクロボット

  • 直交ロボット

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