[特集 物流機器は新世代へvol.7]総合的な提案と顧客に合わせたカスタマイズ/村田機械
「止まらない」「止まってもすぐに動く」
最大可搬質量が1tもあるのにコンパクトなAGV「Premex XIO(プレメックス ジオ)」や、リニア駆動の台車を使ったケース搬送・仕分けシステム「SHUTTLINER(シャトライナー)」など、マテリアルハンドリング(マテハン)機器を製造する村田機械。それらの機器を組み合わせ、物流現場の大規模なシステムを多く手掛ける。これまでさまざまな分野の物流や、生産ラインの自動化をサポートしてきた。
同社システムの強みは、まずは「止まらない」こと。そして「止まってもすぐに復旧できる」ことだ。モノのインターネット(IoT)技術を活用して現場を監視。仮に止まった場合でも、原因が分かればすぐに対応し、再稼働させる。ここで重要なのが、集めたデータと実際の物の動きが一致している「情物一致」という。
「物流センターが長時間停止するのは、データと現物にズレが生じているから」と石山敏彦常務取締役は説明する。情物一致を実現できるのはシステム面に強みを持つためで、ソフトウエアを開発するグループ会社、ムラタシステム(京都市南区、石山敏彦社長)があるからだ。マテハン機器だけでなく、倉庫全体の管理システムや装置制御のソフト設計、開発、システムインテグレーションまでを一貫して提供できる。
広がる自動化の流れ、場所はスーパーなどでも
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で、さまざまな業種が打撃を受けた。一方で、自動化へのニーズは高まった。作業者不足や人件費の向上などで、人間が絶対に必要な場所以外の作業を自動化する動きがあるという。
村田機械が昨年受注した案件も新型コロナウイルス禍による延期や中止はなく、L&A事業部の2021年3月期の業績は上方修正が見込まれる。これまでは自動化しても採算が取れずに断念していた業界から声がかかることも増えた。
例えば、19年に米国のアラートイノベーションと戦略的パートナーシップ契約を結んだことで生まれた3Dロボット倉庫システム「ALPHABOT(アルファボット)」は、これまで関わりの薄かったスーパーマーケットなど小売業界からの引き合いもある。「これまでスーパーマーケットまで物を運ぶ工程の自動化を受けたことはあるが、スーパーのバックヤードでのシステム構築はなかった」と石山常務取締役は話す。