[特集FOOMA JAPAN2021 vol.10]FOOMA閉幕! 来場者は4日間で2万2000人超【前編】
小間内に工場を再現
山善は充填(てん)・包装から人工知能(AI)を使ったⅩ線検査、箱詰め、パレット(荷役台)に段ボール箱を積み上げるパレタイジングまで、工場での各作業工程を小間内に再現した。
充填・包装機で袋詰めされた製品がベルトコンベヤーで運ばれ、AI搭載のⅩ線検査機による異物混入や欠け、過不足などの検査を経て、協働ロボットで箱詰めされる。1つの段ボール箱に3袋を詰めて次工程へ。
ベルトコンベヤーで運ばれた段ボール箱は、協働ロボットでパレットにきれいに積み上げられる。協働ロボットには台湾のテックマンロボットの「TMシリーズ」を使った。
「FOOMA JAPANには2回目の出展。食品や医薬品などの三品業界は、今最も力を入れている分野。わが社の知名度が高く、強みを発揮できる生産財業界とは違い、ロボットハンドに使われる素材などにも気を使う」と説明員は話す。
山善は工場の自動化を扱う専門チームを2019年に結成。今年4月には「トータル・ファクトリー・ソリューション支社」を新設し、大阪と東京、北関東、名古屋に4支店を置いて活動する。柔軟できめ細やかな対応が求められる物流分野で培ったノウハウを最大限に生かし、三品業界でのトータルコーディネートにも本腰を入れる。
野菜をピッキングする新システム
人型協働ロボット「Foodly(フードリー)」を開発するアールティ(東京都千代田区、中川友紀子社長)は、「Work with robot(ワーク・ウィズ・ロボット)」をテーマに3つの自動化システムを提案した。
特に注目を集めたのは、新開発のビジョン&ピッキングシステム「NEKONOTE Vegepicker(ネコノテ・ベジピッカー)」。カナダのKINOVA(キノバ)の垂直多関節ロボットと組み合わせ、コンテナにばらばらに入った玉ネギのような形状の球体をピッキングし、業務用のフードスライサーに投入するデモを披露した。AIに形状などを学習させ、球体の位置を自動検出しながらロボットがピッキングする。
「玉ネギを扱う作業者は、ゴーグルを着用しても涙が出る。大きな負担のかかる作業を自動化できないかと考えた」と広報担当者は話す。同システムは、複数のメーカーの協働ロボットで使える。玉ネギ以外にも、パプリカやトマトなどの食材を登録しておけば、タッチパネルでつかむ食材を切り替えられる。
ケーブル保護管を提案
ドイツに本社を置く樹脂部品メーカー、イグスの日本法人(東京都墨田区、北川邦彦社長)はロボット用のケーブル保護管「トライフレックスR」を提案した。
ブースでは、ファナック製の協働ロボット「CRXシリーズ」にトライフレックスRを装着して展示した。食品業界でも協働ロボットのニーズが徐々に高まっているが、協働ロボットは人と同じ空間で作業できるだけに、周辺設備や作業者との接触によるケーブル断線のリスクもある。トライフレックスRはこうした断線のリスクを低減する。
また、樹脂製の垂直多関節ロボット「ロボリンク」も展示した。ロボットアームや減速機用の歯車など、多くの部品が樹脂でできており、低コストで導入できるのが特徴だ。
――後編につづく
(ロボットダイジェスト編集部 長谷川 仁、鷲見咲美、構成・桑崎厚史)
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