[国際ロボット展 特別リポートvol.11]THKが見据える、自動化普及の「次の段階」
大きさは3種類
回転モジュールの「RMR」は、モーターや減速機、ブレーキ、回転位置を検出するエンコーダーを一体化した製品だ。サイズは3種類。定格トルクの大きさを下2ケタの型番にした「RMR10」、「RMR30」、「RMR50」をラインアップする。
従来、ロボットの関節部は、モーターや減速機などをそれぞれ購入し、ノウハウを持つエンジニアが組み立てなければならなかった。
これらを一体化してモジュールとして提供することで、ロボット設計のノウハウを持たないエンジニアでも、複数の回転モジュールとリンク(関節と関節をつなぐ部分)を組み合わせて簡単にロボットを作れる。
さらに、ロボットの設計自由度を高めるため、RMRにはさまざまな工夫を取り入れた。
中心部に貫通穴のある中空構造で、各種ケーブルをロボット機内に配線できる。同社製の特殊な軸受けを使い、大きな負荷にも耐えられるようにした。また、動作用のドライバーを、あえてモジュールに組み込まずに小型にした。
まずはロボットのシステム構築を手掛けるシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)や、自社でシステム構築できる規模の大手メーカーの生産技術部門などに提案する。
たどる道は直交軸と同じ?
一見すると、要素部品を組み合わせてモジュールにしただけに思えるが、THKは同製品を今後の戦略的な製品の一つに掲げる。
星野常務執行役員は「産業用ロボットの普及が進むと、6軸の回転軸を持つロボットでは過剰なスペックな作業を、少しだけ自動化したいニーズが出てくるはず。そのニーズを満たすには、自分に合ったロボットを簡単に自作できれば一番良い。直交ロボットがまさにそうだった」と話す。
数十年前の直交ロボットは、2軸や3軸を組み合わせて1つのセットとして販売されるものが多かったという。
しかし、現在では1つのモジュールとして、シリンダーのように1軸で対象物を押したり引いたりして搬送する用途がある。また、モジュールを組み合わせて、自動化機器を自作する人も少なくない。
THKは多関節ロボットの普及が進むと、回転軸も同じ歴史をたどると考えている。
特に「簡単な自動化設備に求められる稼働範囲は、導入時の作業イメージを付けやすい、人間の手の届く範囲と同じ」(星野常務執行役員)という。
具体的には、横1000×奥行き600×高さ800mmの立方体の範囲だ。横長なこのスペースを自動化するには6軸の垂直多関節ロボットを置くよりも、直交軸と数個の回転軸を組み合わせる方がシンプルな構造にできる。
直交軸と回転軸の組み合わせも
[国際ロボット展 特別リポートvol.1]iREXが過去最大規模で開幕
[国際ロボット展 特別リポートvol.2]新型協働ロボをフルラインアップ/ファナック
[国際ロボット展 特別リポートvol.3]充実する協働型のアプリケーション/UR、ヤマハ発動機、日栄機工
[国際ロボット展 特別リポートvol.4]相次ぐオプションやサービスの拡充/リョーサン、Dobot、住友商事マシネックス
[国際ロボット展 特別リポートvol.5]新製品・新ブランド続々/不二越、芝浦機械、伊藤忠マシンテクノス、オカムラ
[国際ロボット展 特別リポートvol.6]工作機械の自動化も進化/シチズンマシナリー、KUKAジャパン、シュンク・ジャパン
[国際ロボット展 特別リポートvol.7]遠隔操作、いよいよ普及か!?/リモートロボティクス、モーションリブ、カットランドジャパン、人機一体
[国際ロボット展 特別リポートvol.8]物流業務向けに注力/川崎重工業
[国際ロボット展 特別リポートvol.9]独自技術生かし“未来の工場”を提案/セイコーエプソン
[国際ロボット展 特別リポートvol.10]演奏者はロボット!/明和電機・THK、セイコーエプソン、バイバイワールド
[国際ロボット展 特別リポートvol.11]THKが見据える、自動化普及の「次の段階」
[国際ロボット展 特別リポートvol.12]先進技術で全体最適を提案/三菱電機
国際ロボット展(iREX2022)直前特集 vol.1~vol.6はこちらから
(vol.1~vol.6の記事一覧ページが開きます)
国際ロボット展(iREX2022)直前特集 vol.7~vol.10はこちらから
(vol.7~vol.10の記事一覧ページが開きます)