生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2022.04.19

連載

[注目製品PickUp! Vol.41]メカ式でツール交換がシンプルに/イマオコーポレーション「SMARTSHIFT ロボットシステム」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連製品を紹介する連載企画「注目製品PickUp!」。今回は、イマオコーポレーション(岐阜県関市、今尾任城社長)が取り扱う協働ロボット向けのツールチェンジャー「SMARTSHIFT ロボットシステム」を紹介する。協働ロボットの動きだけでエンドエフェクターを交換できるメカ式のロック機構を採用したのが特徴だ。エアや電気が不要なため、シンプルで導入しやすい。

肝は独自のくさび形状に

 「刃物の町」として知られる岐阜県関市に本社を構えるイマオコーポレーションは今年4月4日、協働ロボット向けのツールチェンジャー「SMARTSHIFT(スマートシフト) ロボットシステム」を発売した。
 ノルウェーに本社を置くSMARTSHIFT robotics(スマートシフト・ロボティクス)の製品で、イマオコーポレーションは総代理店として日本市場での販売やサポートを担う。

 スマートシフト ロボットシステムはロボットの手首軸に搭載する「ロボットマスター」と、ロボットハンドなど各種エンドエフェクターを取り付ける「ツールホルダー」のセットで構成される。エンドエフェクターを自動交換する場合はこれら2つに加え、ツールホルダーの保持や着脱を担う「ツールポケット」も要る。

ロボットマスター(左上)、ツールホルダー(左下)、ツールポケット(右)のセット

 一般的なツールチェンジャーはエアや電動でロックするタイプが多いが、スマートシフトの製品はメカ式のロック機構を採用したのが特徴だ。「エンドエフェクターを交換するのにエアや電気が要らず、シンプルで導入しやすい」と機工本部の高御堂享副本部長は話す。

 ロボットマスターとツールホルダーを固定する肝は、スマートシフトが国際特許を取得した独自のくさび形状にあるという。ツールホルダー側には固定用のピンを出し入れするボタンが付いており、エンドエフェクターを交換する際はボタンを下げてピンを沈めてから、くさび形状に倣ってロボットマスターをスライドさせるだけでよい。

 一方、自動交換の場合は、ツールポケット内のばね機構が人の代わりにツールホルダーのボタンを操作する仕組みだ。そのため、協働ロボットのアームを水平方向に動かすだけでエンドエフェクターが自動で変更できる。

  • スマートシフト ロボットシステムの特徴(提供)

  • さまざまな作業を1台の協働ロボットにさせられる(提供)

さまざまな作業を1台に

ベースユニットで協働ロボットの移設も可能(提供)

 エンドエフェクターを簡単に交換できるため、搬送や検査、溶接などのさまざまな作業を1台の協働ロボットにさせやすく、稼働率アップにもつながる。
 高御堂副本部長は「協働ロボットを導入したくても、エンドエフェクターの交換などが障害になって投資に見合う作業量を確保できず、導入を見送る企業も多い。スマートシフト ロボットシステムを使えば協働ロボットをフルに活用でき、生産性を大幅に高められる」と説明する。

 ロボットマスターとツールホルダーの位置再現精度は0.05mmで、最大可搬重量は50kg。ユニバーサルロボットや斗山(ドゥーサン)ロボティクスをはじめ、ファナックや安川電機、ABBなどの主要メーカーの協働ロボットに搭載できる。ロボットマスターにツールホルダーを装着するだけで、エンドエフェクターへのエア接続や電気接続ができるのも大きなポイントだ。
 本体価格はロボットマスターが4万2000円からで、ツールホルダーは7万円から。ツールポケットは1台18万8000円(いずれも税抜き)。

 また、スマートシフト・ロボティクスはツールチェンジャーだけではなく、協働ロボットを移設するためのベースユニットも製造、販売する。ベースユニットは移設先の架台(ロボットを置く台)などに取り付ける「ベースプレート」と、協働ロボット側に搭載する「マスターベース」の2つで構成される。
 ここにも独自のくさび形状が採用されており、工具レスで簡単に協働ロボットを移設できるのが特徴だ。あらかじめベースプレートを用意しておけば、複数の場所で協働ロボットを柔軟に運用できる。

TOP