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2022.12.02

[特別リポートJIMTOF2022 vol.3] 多台持ちや複数工程を担う

11月8日~13日の6日間、都内の東京ビッグサイトで工作機械展「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF=ジムトフ2022)」が開かれた。同展はビッグサイト全館を使用する国内最大の工作機械展で、会期中に重複なしで11万4158人、重複ありで14万1948人が来場した。特別リポートJIMTOF2022の「vol.3」では、ロボット1台で工作機械を複数台担当(多台持ち)するシステムや、複数工程の作業を担うシステムを取り上げる。

1台で多数の放電加工機を担当/三菱電機

 従来、産業用ロボットは固定して使うものだったが、その常識が崩れつつある。手押し台車に産業用ロボットを載せるケースもあるが、無人搬送車(AGV)や自律移動型搬送ロボット(AMR)に載せたシステムの提案も増えている。自律的に移動できれば、担える作業の幅は一気に広がる。

三菱電機は放電加工機をAMR搭載型ロボットで自動化

 ロボットメーカーであり、放電加工機のメーカーでもある三菱電機も、AMRに産業用ロボットを搭載し、放電加工機の自動化を提案した。加工する対象物(ワーク)をロボットが自動交換するシステムで、自律的に移動しながら1台のロボットが多数の加工機を担当できる。新たに開発したソフトウエアの統合スケジューラーがシステムの肝で、各加工機の稼働状況や加工が終わるタイミングなどを把握し、全体最適を実現する。

 工作機械へのワークのローディングでは、高い位置決め精度が求められるが、AMRの停止位置の精度はそこまで高くない。そこでこのシステムでは、機械側に貼付したマークをロボット側のビジョンセンサーで読み込み、相対位置を把握。その位置関係に合わせて動作を補正するなどして、この課題を解決した。
 「切削と比べて加工時間が長い放電加工機はまだまだ自動化が進んでいないが、今後はこういった高度な自動化のニーズも出てくる」と担当者は話す。

爪やジグの交換まで1台で/豊和工業

ロボットアームもワークもAMRで自律移動する

 豊和工業は、AMRに搭載したロボットアームで、マシニングセンタと旋盤というタイプの異なる工作機械を自動化した。自律移動しながらワークを自動交換するだけでなく、ワークを固定するための旋盤用の爪や、マシニングセンタでワークの固定に使うジグ(補助具)の交換まで1台のロボットが担う。

 豊和工業は、複数の工作機械をガントリーローダーでライン化したシステムに強みを持つ企業だ。そういったシステムは大量生産では非常に高い生産性を誇るものの、少量多品種生産には対応しにくかった。「今回展示したようなシステムなら、段取り替え(ジグなどのセッティング変更)が頻繁に発生する他品種少量の生産も完全自動化できる」と渡辺健司取締役機械事業部長は語る。

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