[注目製品PickUp! vol.57]剛性か軽さか? 2種類の薄型減速機をAGVに/加茂精工「PSR/PSLシリーズ」
内歯車とトロコイドギアで動力伝達
加茂精工のPSRシリーズやPSLシリーズはAGVの駆動ユニットをはじめ、産業用ロボットやサービスロボットの関節軸などに使われる差動減速機だ。PSRシリーズを2016年に発売し、その4年後の20年にPSLシリーズを追加して差動減速機のラインアップを広げた。
基本構造は両シリーズとも共通で、円周上に配列されたローラーで構成された内歯車と、対向に配置された2枚のトロコイドギア(トロコイド曲線が採用された歯車)などが使用される。内歯車の内側をトロコイドギアが公転することで入力軸から出力軸へと動力が伝達される仕組みで、両者の歯数の差によって減速比が生まれる。
PSRシリーズは外径のサイズに応じて「PSR70」「PSR110」「PSR135」の3種類、PSLシリーズは「PSL70」「PSL110」の2種類をそろえる。PSR70とPSL70の2種類だけは19分の1、39分の1、49分の1の減速比だが、それ以外は19分の1、39分の1、59分の1だ。
小型化に役立ち、設計自由度も高められる
両シリーズに共通する特徴は薄型でコンパクトなこと。「減速機が薄ければ、減速機が組み込まれるAGVや各種ロボット、自動化装置の小型化に役立つ上、設計の自由度も高められる」と技術部の片山嘉丈技術課長は述べる。
これに加え、PSRシリーズでは剛性(変形のしにくさ)を重視し、PSLシリーズでは軽量化を追求した。主要構成部品の素材を鉄系部品からアルミ系部品に置き換えたり、既存の鉄系部品も薄肉化を図ったりしたことで、PSLシリーズは従来製品のPSRシリーズ比で約30%の軽量化を実現した。
営業部の水野遼主任は「両シリーズの代表的なターゲットはAGVの駆動ユニット。先行販売したPSRシリーズは既にAGV向けに広く適用されているのに加え、軽量化を図ったPSLシリーズもAGVのバッテリー消費量を抑えるという点では非常に有効」と語る。