強みをコンセプトの実践につなげる/安川電機 岡久学ロボット事業部長
コトからモノの開発に取り組む
――今年3月に就任した小川昌寛社長から引き継ぐ形でロボット事業部長に就任しました。
会長の小笠原浩も小川も、強いリーダーシップで会社をけん引しています。その方針を事業部内で展開していくことが私のミッションです。つまり、お客さまのコト(ニーズ)からモノ(製品)の開発につなげる考え方を顧客目線に置き換え、顧客への提案に反映する――。難しいですが、やらなければなりません。
――これまでロボット事業部ではどのような経歴を?
ずっと技術畑です。マニピュレーターの開発がメインで、双腕ロボットや7軸垂直多関節ロボットの開発にも携わってきました。特に双腕ロボットの開発を通じて、ロボットの使い方を考えさせられましたね。それ以前は溶接ロボットなど特定のアプリケーションに合わせて開発していましたが、少子高齢化による人手不足への対策として、人の作業を置き換えて自動化することを目指しました。結果として人型に近い形状になりましたが、人型のロボットを作ろうと思った訳ではありません。人が両手を器用に使ってこなす作業を自動化するには、双腕がベストだったんです。個人的に、コトからモノが生み出されることを深く学んだプロジェクトです。
コロナ禍の中で中国統括を経験
――ロボット事業部長に加え、中国統括も兼任されています。
新型コロナウイルス感染症の発生以前の19年に中国に赴任し、中国での事業を統括する現地法人の総経理(社長)に就任しました。それから約3年間は日本に帰ることができず、普段とは違う中国を経験しました。これからも定期的に現地と行き来することになります。現地法人としては当然ですが、中国のものづくりに貢献することを考えて経営しています。
――中国の市場環境や景況感はどうですか?
中国では電気自動車(EV)関連の投資が活発です。ゆえにロボットにも投資の機会は大いにあると見ています。また、中国でも他の国と同じようにものづくりを進化させていくためのスマートな取り組みが進んでいます。
――総経理として取り組んだことは。
赴任当時は事業部ごとに営業担当者が動いていて、コミュニケーションが希薄でした。そこで、事業部を横断したプロジェクトを立ち上げたり、人事評価の透明性を改善したりしました。結果、社内の風通しが良くなり、働く意欲も高まったと思います。全事業部の製品を扱っていたので、私もロボット以外の事業部について深く関わることができました。