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2024.03.29

コラム

[エディターズノートvol.1]備えあれば憂いなし

どうなる2024年問題

 来週から2024年度になってしまう。少しネガティブな書き方をした理由は、以前からの懸案だった「2024年問題」がいまだ解決されていないからだ。
 これはトラックドライバーなどの時間外労働が年間960時間に制限されることで生じる諸問題のことで、ドライバー不足が一気に深刻化するとみられる。

 この問題は以前から指摘されてきたため、一部の企業は問題が起きないよう事前に手を打ってきたが、国全体で見れば、まだまだ対策は進んでいない。

 2024年問題に対して、ロボットが貢献できることは多い。トラックドライバーの労働時間が長期化する要因の一つに、荷待ちの時間があるからだ。積荷の準備や積み込み、荷降ろしには時間がかかり、待機時間が長くなる。これら作業をロボットなどの自動化機器でスムーズにできれば、ドライバーの待機時間を大幅に短縮できる。

ソリューションは既にある

倉庫や物流センターの自動化ニーズは高い(写真はイメージ)

 今月のロボットダイジェストの記事を振り返ると、倉庫など物流向けの提案が多かった(※物流向け記事一覧はこちらから)。
 
 今月だけでなく数年前から増えており、22年に連載企画「進化する物流」を始めたのも企業からの物流向け自動化提案が増えたからだ。
 「2024年問題」、この言葉をロボットダイジェストで初めて使ったのは22年9月の「進化する物流vol.1」だった。それ以降もこの言葉は何度も記事内に登場していて、「ロボット業界はこの課題を解決するため、積極的に提案してきた」ことは間違いない。

 ソリューションは既にある。問題は、そのソリューションの導入が進んでいないことだ。
 人の心には「正常性バイアス」と呼ばれる性質が備わっている。自分にとって都合の悪い情報を過小評価したり無視する傾向のことだ。「災害時に警報が発せられても避難しない」などもこのバイアス(先入観・偏見)によるもので、災害心理学などの分野で研究が進んでいる。
 また日本人は「同調性バイアス」が強いとも言われ、「周りも対策をしていないのだから、対策をしなくても大丈夫だろう」と思いがちだ。
 こうしたバイアスが、問題が見えているのに対策が進まない原因の一つと言えそうだ。

 これらバイアスを克服するのは容易ではない。各種バイアスについて知識を深め、客観的にデータに向き合い、「自分の判断にもバイアスがかかっているのではないか」と常に自問しながら行動するしかないだろう。

意識が変わるきっかけに

 2024年問題の後には、団塊の世代が後期高齢者になることで生じる「2025年問題」が控えている。2025年問題を何とか乗り越えたとしても「2030年問題」、「2040問題」「2054年問題」など、難局は終わらない。

 自然災害に対してはこの十数年間で「津波警報が出たらしっかり避難しよう。多少過剰でもいいから軽視せずに対応しよう」などの意識が高まったように感じる。
 人手不足に対しても、2024年問題を機に「最悪の事態まで想定して、あらかじめしっかり自動化投資をして備えておこう」との意識が社会に根付くことを期待したい。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)



※「エディターズノート」はロボットダイジェストの編集後記として毎月最終営業日に掲載します。

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