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2024.11.11

連載

[SI基礎講座vol.17] 導入ステップ①

ロボットのシステムインテグレーション(SI)に関する基礎知識を紹介する本連載企画。今回からは「ロボット導入ステップ」を取り上げる。ロボット導入の前には「地ならし」が必要になる。これをせずにロボットを導入しても十分な効果は得られず、そのシステムは最終的に使われなくなってしまうことが多いという。

〔今回の講師:中小機構 経営支援アドバイザー 加藤栄作先生〕


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【今回のポイント!】
〇導入企業が自分たちで取り組む
〇ロボット導入の前にまずは「地ならし」
〇知恵を絞ってかいた汗は会社の資産になる

曖昧な段階で打診しない

現状の問題点①(SI基礎講座、スライド資料より)

 ロボットを導入する企業に取り組んでいただきたい具体的なステップについて説明します。
 これから紹介する内容は、外部のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)ではなく、導入企業の方に取り組んでもらわなければいけません。そこだけはまず、強調しておきたいと思います。

 まず、資料(右)には現状の問題点が書いてあります。導入したいシステムの要件が明確でなく、「この工程にロボットを入れたい」というだけのざっくりとした段階でSIerに打診をすると、要件の詰めに相応の時間が掛かってしまいます。
 現状で問題点がいろいろあるのにそのままロボットを導入しても、十分な効果や成果は得られません。あるべき姿を描いた上で、きちんと改善活動をしてもらい、導入前に「地ならし」をすることが必要です。

地ならしが必要な理由(SI基礎講座、スライド資料より)

 右の資料には、必要な理由を記載しています。いろいろと書いてありますが、要するに問題を抱えたままシステムを導入すると、問題に対する対症療法が増えていき、システムはどんどん複雑になってしまいます。そうすると、大抵の場合は最終的に使われないものになってしまいます。 
 やはり、あるべき姿に向けた「地ならし」が必要です。地ならしであるべき姿を全社で共有化することで、各部門が目指すべき方向が明確になります。
 実際には他の工程と並行して進めることもあるかもしれませんが、前もって地ならしをきちっとしておくことが大切です。

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