生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2024.09.19

体験会でパレタイジングシステムの操作性や新機能をアピール/Closer

筑波大学発の人工知能(AI)ロボティクスベンチャーのCloser(クローサー、茨城県つくば市、樋口翔太社長)はこのほど、パレタイジング(積み付け)の自動化システム「Palletizy(パレタイジー)」の体験会を開催した。パレタイジーは協働ロボットを使ったパッケージシステムで、段ボール箱などをパレット(荷役台)に積み付ける作業を自動化する。体験会の参加者は「パレタイジーの操作性や便利な機能を体験できた」と語る。

システムの特徴を体感

パレタイジングの自動化システム「パレタイジー」

 クローサーはパレタイジーを実際に操作できる体験会を開催した。9月2日~4日は都内で、10日には名古屋、13日には大阪と3カ所で開き、合計で20社以上が参加した。
 ウェブサイトや展示会で引き合いのあった企業を中心に申し込みがあり、予定していた事前予約枠は全て埋まったという。「パレタイジーの特徴は設置スペースの小ささや操作の簡単さ。これらを直接体感できる機会を設けるために開催した」と樋口社長は語る。

参加者が前のめりで説明を聞く様子が見られた

 会場にパレタイジーを設置し、同社で用意した段ボール箱の積み付けデモを披露するだけでなく、最短1分で簡単に設定ができる強みを生かして参加者が持参したワーク(対象物)の積み付けも試せるようにした。
 樋口社長は「大小さまざまなサイズの段ボール箱に加え、袋物や一斗缶の積み付けを自動化したいとの要望もある。ワークに適したエンドエフェクターについて確認するなど、具体的な話も進んだ」と話す。

日々アップデートを重ねる

 体験会ではパレタイジーの新機能もいち早く披露した。「AutoLayout(オートレイアウト)機能」は、段ボール箱のサイズなどの数値を基に、自動で積み付けパターンを生成する。複数の配置パターンを並べて表示するため、ユーザーは最適な配置を比較して選べる。この機能は今年6月に実装したばかりだが、ユーザーからの要望を反映してさらなる新機能も開発した。

  • パレットの範囲(グレーの部分)から段ボール箱がはみ出すような配置パターンも設定できる

  • 参加者が実際にパレットからはみ出す配置パターンを試した

 その一つが、積み付けの際にパレットの端からワークをはみ出して置く機能だ。操作画面でレイアウトを決定する際に、パレットの端からはみ出して良い長さを入力すると、その分だけパレットからはみ出した位置にワークを置くようなレイアウトを自動生成する。これまではパレットの範囲内に全てのワークが収まるようなレイアウトを設定するのみだったが、ユーザーによってはパレットに載せる量を最大化するために一定値はみ出すのを許容するケースもあり、そうした要望に応えるために開発したという。

システム稼働中は、作業の進み具合を操作パネルに表示する

 他には手動で配置パターンを設定できる機能や、システムの稼働中に作業の進み具合を表示する機能なども開発した。体験会の参加者はそれらの機能の説明を受けながら、パレタイジーが稼働する様子を前のめりに見ていた。
 「ロボットシステムを導入する上で課題になるのは、投資コストや処理能力、メンテナンス性、操作性など。パレタイジーの操作性や便利な機能を体験できてイメージがつかめた」とある参加者は話す。

最上段のみ手動でレイアウトを設定することで、積み付ける個数を柔軟に変えられるようになった

 樋口社長は「今回の体験会の参加者の中には、来年中にパレタイジーを導入する計画を進めている企業も多い。こうした機会を通じて意見や要望を取り入れ、より良いシステムを提供できるようにしたい」と意気込む。
 体験会は今後も定期的に開催する予定で、次回は12月に実施する。

(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)



関連記事:配置パターンの生成機能で、積み付けを自動化しやすく/Closer
関連記事:ロボットやAIで高度な自動化、包装機械業界の最新提案 ジャパンパック/Closerほか2023
関連記事:食品工場の自動化を後押し/Closer

TOP