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2024.09.26

イベント

[国際物流総合展2024 vol.1]全体の統合制御をデジタルで簡単に/ダイフク、IHI物流産業システム、Mujin、伊東電機、YE DIGITAL

9月10日~13日、東京都江東区の東京ビッグサイトでアジア最大級の物流総合展「国際物流総合展2024」が開催された。「持続可能な道、物流の明日を育む」をテーマに、580社・団体が出展し、4日間で合計8万4193人が来場した。出展者数と来場者数は共に過去最多を記録するなど、会場は活気にあふれた。多くの出展者が焦点を当てたのは統合制御に向けたデジタル技術だ。マテリアルハンドリング(マテハン)の大手メーカーなどは、物流現場全体を統合制御して高度な自動化を実現する技術を提案した。

東ホール全館で開催

多くの来場者でにぎわう会場

 国際物流総合展は2年に一度開催される。近年の国内の物流現場は電子商取引(EC)サイトなどを通じた通信販売の興隆に対して、慢性的な人手不足の状態だ。
 さらに、今年4月にはトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制の適用が始まり、それに伴って生じる諸問題、いわゆる「2024年問題」もあり、作業の効率化や自動化の機運が高まっている。
 そのような背景もあり、今回は東1~8ホールを使って盛大に開催された。

2030年までに「完全自動化」を

ダイフクは巨大モニターで近未来を提案。来場者は3Dメガネを着けて見る

 マテハンの大手メーカーなどは、物流現場全体をデジタル技術で統合制御して高度な自動化を実現する将来像を示した。
 その一社、ダイフクは大型のモニターを使い、完全自動化された未来の物流現場のイメージを立体的な映像で披露した。映像ではデータを基に自動倉庫や産業用ロボット、無人搬送車(AGV)などが協調して稼働し、物品を搬送する。
 下代博社長は「2030年に完全自動化を目指す。それにはハードウエアだけでなく、デジタル技術も重要。将来的には社員の10%をデータサイエンティストにするなど、より一層注力する」と意気込む。

今回発表したピース向けの「SOTR-S」

 また、最新機器として搬送や仕分けを自動化するAGV「ソーティング・トランスファー・ロボット(SOTR)」シリーズを紹介した。
 可搬質量1000kgで荷役台(パレット)ごと搬送する「SOTR-L」、20kgまでのケースやコンテナを運ぶ「SOTR-M」、物を1個単位で仕分け搬送する「SOTR-S」の3種類。これらを組み合わせて、物流現場で扱いが多い「パレット」「ケース」「ピース」の全てに対応する。
 担当者は「ケースやピースの搬送はコンベヤーを使うケースも多いが、AGVに置き換えることでより柔軟に運用できる。全体最適のために、統合制御の技術とそれを実現するハードウエアの開発に注力したい」と話す。

統合制御システムを来年発売へ

IHI物流産業システムは「L-Sync」で複数の自動化機器を制御

 マテハン機器メーカーで物流システムのインテグレーターでもあるIHI物流産業システム(東京都江東区、川田基浩社長)は、統合制御システム「L-Sync(エルシンク)」を初披露した。
 エルシンクは、物流現場のロボットや自動倉庫、自律搬送ロボット(AMR)、搬送機器などの自動化機器を、メーカーに関わらず効率的に統合制御できるシステム。後付けもできる仕様で、来年の発売を目指して実証実験を重ねているという。

 会場では、複数メーカーのAMRをはじめ、自社製の自動化機器などを統合制御するデモンストレーションを披露し、来場者の興味を引いていた。
 今村壮壱総務グループ長は「今回展ではハードだけでなくソフトの提案に力を入れた。物流現場で困っている来場者からの関心は高いと実感できた」と話す。

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