人材・技術・環境、ロボ普及へ施策出そろう【その3】/経済産業省 石井孝裕ロボット政策室長
アイデアコンテストも開催
――ロボット関連施策の四つ目の方向性である「社会実装を加速するオープンイノベーション」とは?
来年度に競技会と展示会からなる「ワールドロボットサミット(WRS)」を開催する予定です。WRSの競技会は、ものづくり、サービス、インフラ災害対応、ジュニアの4カテゴリーで構成されますが、この内、ものづくり、サービス、ジュニアの3カテゴリーの競技会と展示会を愛知県国際展示場で、インフラ災害対応の競技会を福島ロボットテストフィールドで開催する予定です。今年2月には、福島県ご出身のディーン・フジオカさんにアンバサダーに就任いただきました。本来であれば、今年開催する予定でしたが、残念ながら、新型コロナウイルス禍により来年度へ延期することとしました。具体的な開催時期については、現在検討中です。競技会では世界中から集まったチームがロボットの技術やアイデアを競い合い、展示会ではロボット活用の現在と未来の姿を発信します。それだけでなく、WRSのパートナー企業がスポンサーとなり、課題を設定してその解決に向けたアイデアを競う「ビジネスアイデアコンテスト」も開催する予定です。参加者が一つの課題に対してアイデアを出し合う「ハッカソン」に近いものです。
――ロボット関連の施策がとても充実しています。
コロナ禍で当初のスケジュールより少し遅れたものもありますが、2年前から検討を進めてきた施策が徐々に形になり始めました。ロボットに関する、①導入普及、②人材育成、③研究開発、④オープンイノベーションの四つの柱を提示したのは、19年7月。これらはいずれも普遍的で極めて重要な政策テーマです。その後に発生したコロナの感染拡大により、三密回避のニーズが高まり、これら四つの中でも、特に導入普及についてはアクセルをより強く踏み込んで進めていく必要があると思っています。来年度の概算要求では、19年策定の「ロボットによる社会変革推進計画」で示された施策を推進するため、今年度以上の予算額を提出しています。充実した施策を展開し、ロボットの普及を促進していければと考えています。
(聞き手・ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
経済産業省 製造産業局 ロボット政策室長
石井孝裕(いしい・たかひろ)
2005年3月早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年4月経済産業省入省、製造産業局参事官室配属。製造産業局自動車課課長補佐や産業技術環境局研究開発課課長補佐などを経て18年7月より現職。東京都出身、1981年2月生まれ。
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