生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2019.02.25

[特集SIerになろうvol.7]工作機械からも参入【その2】/豊和工業

[特集SIerになろう]のvol.6~8では、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に参入した工作機械・関連機器メーカーの事例を取り上げる。工作機械とロボットはどちらも本体と周辺機器を組み合わせて使い、機械と電気の両方の技術が必要になる。自社の機械にロボットを組みつけて販売したことのあるメーカーにとって、SIer業界への参入障壁は高くない。産業用ロボットが使われる産業は幅広いが、工作機械・関連機器メーカーの強みを生かしどのような市場を狙うのか。【その2】では、愛知県清須市に本社を置く豊和工業の塚本高広社長に話を聞いた。

生産ラインを一括提供

「まずは金属加工の生産ラインがターゲット」と塚本社長

 工作機械やチャック(工作機械に加工物を固定する機器)を製造する豊和工業もSIer業界に近年参入した。新規事業を社内で検討したところ、自社の強みを最も生かせるのがSIerだった。
 まずは金属加工の生産ラインをターゲットに据える。

 「SIerの多くは小規模で、生産ラインを一括で任せられる企業は少ない。当社なら工作機械もロボットもローダー(加工材料の供給機)も全部一括で、生産システムとして提供できる」と塚本高広社長は語る。

ロボットに合わせ工作機械側を変えられる

自社システムを紹介する渡辺健司取締役(左)と新事業調査室の担当者(右)

 一昨年の秋に大型案件を受注し、昨年7月に納入するなど、着実に実績を積む。
 昨年11月に開かれた「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」では、ワークの脱着だけでなく、チャックの爪交換ができるロボットシステムを披露した。爪の交換後はマスターワークをチャッキングし、振れの測定まで自動でできる。

 「工作機械やチャックを手掛ける当社なら、ロボットの作業に合わせて機械やチャック側を改良することもでき、システム全体で最適化が図れる。ロボットだけの専門家にはできないことで、大きなアドバンテージ」と塚本社長は言う。

 まずは手慣れた金属加工の生産ラインから始めたが、いずれはビジョンセンサーを使った組み立て工程などにも取り組む方針だ。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)


TOP