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2019.07.18

連載

[ロボットが活躍する現場vol.4] 自動化した後に「改善」! 生産性を80%アップ【前編】/旭鉄工

連載「ロボットが活躍する現場」の4回目は、さまざまな自動車部品を製造する旭鉄工(愛知県碧南市、木村哲也社長)を訪ねた。愛知県西尾市の西尾工場に行き、トランスミッションの一種である無段変速機(CVT)用の鋳物部品「シフトフォーク」を製造するロボットラインを取材した。木村社長は「自動化したラインでも、改善をすることが大事」と力説する。今回取材したロボットラインは、1時間当たりの生産数が従来の160個から288個に、比率で言えば80%もアップしたが、一体どのような改善を施したのか。前編ではまず、ロボットラインの概要を紹介する。

IoTで一躍有名に

今回訪ねた西尾工場

 旭鉄工は愛知県碧南市に本社を置く自動車部品メーカーだ。エンジンに使われるバルブガイドやトランスミッションに使われるシフトフォーク、サスペンションアーム、けん引用のフック部品など、さまざまな自動車部品を製造する。
 最大の取引先はトヨタ自動車で、アイシン・エィ・ダブリュがそれに続く。完成車メーカーに直接部品を納入する、いわゆる“ティア1”の企業だ。

 旭鉄工の特徴は、熱間鍛造やアルミダイカスト、冷間プレス、切削加工、溶接、表面処理、組み付けなどのさまざまな工法に自社で対応できること。粗材(鋳造や鍛造で作った部品)から完成品まで一貫して生産できる。
 もう一つ特徴的なのが、モノのインターネット(IoT)の取り組みだ。同社では現在、自社の生産現場の改善活動の一環でIoT技術を積極的に導入している。企業規模としては中堅ながら、IoT技術を駆使して生産性を飛躍的に高めた先進的な企業として「旭鉄工」の社名は一躍有名になった。

 旭鉄工は国内では、本社工場と愛知県西尾市の西尾工場の2工場を運営する。海外ではタイに現地法人を持つ。ロボットダイジェスト編集部は今回、西尾工場を訪ねた。工場の建屋面積は4万6100m²で、機械加工工場や熱間鍛造工場、冷間プレス工場、熱処理工場、アルミダイカスト工場などの工場棟がある。

脱着の工程をロボットで自動化

西尾工場ではさまざまな設備が稼働する

 西尾工場では切削加工機やプレス加工機などさまざまな設備が稼働しており、ロボットが活躍する生産ラインも多い。
 西尾工場の機械加工工場では、加工前の部品を加工機に投入し、加工後の部品を取り出す「脱着」の工程を自動化するのに、ロボットを使うこともある。
 木村社長は「当社には『付加価値の高い仕事を人がやる』とのスタンスがある。(付加価値が低い)脱着の工程をロボットで自動化し、人は生産ラインの改善などをする」と説明する。

 同社がロボットを自社工場に初めて導入したのは、今から30年近く前にさかのぼる。量産ラインを対象に、早くからロボットを導入した。
 木村社長は「当時は非常に生産数が多く、脱着の作業を人がやっているとその分だけ労務費がかかった。そのため、まずは生産数が多いものから率先して自動化を進めた」と振り返る。「ロボットを導入する時には、しっかりと投資した分を回収できるかを意識する。これを踏まえると、必然的に量産ラインがロボット化の対象になるケースが多い」とも語る。

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