結果にコミット? ロボットのスリム化に貢献できたワケ【前編】/ナブテスコ
ロボットがなぜスムーズに動き、正確に作業をこなせるのか? ロボットを動かすソフトウエアが賢いのはもちろんだが、それだけではない。例えばロボット本体がぐらついていたら正しい場所でアームが止まらず、先に取り付けたロボットハンドに作業などさせられない。ロボット本体とアーム、ロボットハンドのそれぞれが、決められた通りの位置でぴたりと止まらなくては、肝心な作業が始められない。各部分を実際に動かすのはモーターだが、重要なカギを握るのはモーターに取り付けられた減速機なのだ。中・大型の産業用ロボットの関節に使われる精密減速機で、世界シェアの6割を占めるナブテスコの精密減速機「RVシリーズ」。この製品を製造する津工場に向かい、精機カンパニーで開発部長を務める森弘樹理事に精密減速機の肝について聞いた。
減速機って何ですか?
――そもそも減速機とは何ですか?
一番わかりやすいのが自転車や自動車の変速ギアです。自転車で坂道をペダルでこいで上るのは平地よりきついですよね。軽いギアに変えて、たくさん回すけれども軽い状態にすれば、坂道でも上りやすくなります。
ナブテスコの強み
――ところで数ある減速機の中で、特に産業用ロボット向けの減速機で一番重要なのは何ですか? シェア6割を勝ち取った理由は?
高精度、高剛性、高信頼性です。この3つの「高」をキーワードにしてアピールしています。この3つがそろうことでシェアを維持できていると自負しています。
――3つの「高」をもう少し詳しく解説してください。
高精度とは、例えばロボットを使った溶接では、高精度で位置を決める必要があり、高い精度の減速機が求められます。それを実現するために、減速機を構成する歯車や軸受けなどの各部品を高精度に加工し、バックラッシ(歯の間の遊び)を最小にしています。
――なるほど、改めて説明する必要はないかもしれませんが高信頼性とは?
減速機そのものの信頼性です。減速機の不具合を理由にロボットが止まれば、製造ライン全体、工場全体を止めてしまいます。まずは減速機自体が「壊れない」こと。そのためには減速機自体が高品質でなければなりません。全部品、全製品でトレーサビリティー(追跡可能)管理を厳格にしています。産業用ロボット向けの減速機に求められるのはここです。これからのロボットにはどんな減速機が必要か。ロボット自体も常に進化しており、われわれ減速機メーカーもロボットメーカーと一緒に取り組んでいます。「われわれ自身もロボットの進化に貢献している」との自負や自信もあります。
――後編へ続く
(ロボットダイジェスト編集部 長谷川 仁)