「未来の工場」や世界の先端事例を日本へ/ABBジャパン
日本での「化学反応」に期待
大量生産も小ロットも1つのラインで
iREX2019で小間の中心に据えたのは、腕時計の組み立て工程と箱詰め工程を一連にした生産ラインだ。製造品目が変わっても柔軟に変化に対応する「未来の工場」を表現した。
まず水平多関節(スカラ)ロボットで、腕時計の時計部分とベルトを搬送容器から取り出し、搬送装置で双腕型協働ロボットYuMi(ユーミィ)まで運ぶ。ユーミィは2本のアームや固定器具を駆使して腕時計にベルトを取り付ける。次に別のユーミィが箱を組み立て、腕時計を納める。
この生産ラインを、シミュレーション技術を生かしたデジタル空間上にも再現した。デジタル空間でも時計を組み立てて、現実と仮想を同期させながら生産管理ができる。
展示では、1種類の時計を組み立て続けることで「大量生産」を表現する一方、腕時計のベルトは複数のデザインを用意。生産管理システムを通じて、来場者が好みのベルトを使った腕時計を発注すると、そのオーダー品の組み立てを始め、「少量多品種生産」への対応を示した。
担当者は、「デジタルシミュレーション上での管理により、1つの生産ラインで大量生産品と小ロットの特注品のどちらにも、速やかに対応できる」と訴求する。
ロボットは完璧ではない
実際にロボットダイジェスト編集部も腕時計を作成してもらった。
まず好きなベルトを選択し必要事項を入力すると、しばらくして生産管理画面に「robot digest」とのアイコンが出た。シミュレーションと照らし合わせると、発注した時計が今どこでどんな工程にあるかが分かる。一連の工程を経て箱詰めまでを終えると、レーザープリントで箱にrobot digestと記名する。そして、完成品はユーミィから作業者、作業者から記者へと手渡しされる。
展示では、ロボットと作業者の協働も見どころだった。上記のような受け渡しだけでなく、ユーミィが腕時計や箱の組み立てを上手にできない際に、作業者が手助けをする。
「ロボットも完璧ではなく、ミスをする。その時にだけ作業者がフォローすればよい。必ずしも『完璧なロボットシステム』を構築する必要はないと訴えたい」(担当者)。