[注目製品PickUp! Vol.41]メカ式でツール交換がシンプルに/イマオコーポレーション「SMARTSHIFT ロボットシステム」
肝は独自のくさび形状に
「刃物の町」として知られる岐阜県関市に本社を構えるイマオコーポレーションは今年4月4日、協働ロボット向けのツールチェンジャー「SMARTSHIFT(スマートシフト) ロボットシステム」を発売した。
ノルウェーに本社を置くSMARTSHIFT robotics(スマートシフト・ロボティクス)の製品で、イマオコーポレーションは総代理店として日本市場での販売やサポートを担う。
スマートシフト ロボットシステムはロボットの手首軸に搭載する「ロボットマスター」と、ロボットハンドなど各種エンドエフェクターを取り付ける「ツールホルダー」のセットで構成される。エンドエフェクターを自動交換する場合はこれら2つに加え、ツールホルダーの保持や着脱を担う「ツールポケット」も要る。
一般的なツールチェンジャーはエアや電動でロックするタイプが多いが、スマートシフトの製品はメカ式のロック機構を採用したのが特徴だ。「エンドエフェクターを交換するのにエアや電気が要らず、シンプルで導入しやすい」と機工本部の高御堂享副本部長は話す。
ロボットマスターとツールホルダーを固定する肝は、スマートシフトが国際特許を取得した独自のくさび形状にあるという。ツールホルダー側には固定用のピンを出し入れするボタンが付いており、エンドエフェクターを交換する際はボタンを下げてピンを沈めてから、くさび形状に倣ってロボットマスターをスライドさせるだけでよい。
一方、自動交換の場合は、ツールポケット内のばね機構が人の代わりにツールホルダーのボタンを操作する仕組みだ。そのため、協働ロボットのアームを水平方向に動かすだけでエンドエフェクターが自動で変更できる。
さまざまな作業を1台に
エンドエフェクターを簡単に交換できるため、搬送や検査、溶接などのさまざまな作業を1台の協働ロボットにさせやすく、稼働率アップにもつながる。
高御堂副本部長は「協働ロボットを導入したくても、エンドエフェクターの交換などが障害になって投資に見合う作業量を確保できず、導入を見送る企業も多い。スマートシフト ロボットシステムを使えば協働ロボットをフルに活用でき、生産性を大幅に高められる」と説明する。
ロボットマスターとツールホルダーの位置再現精度は0.05mmで、最大可搬重量は50kg。ユニバーサルロボットや斗山(ドゥーサン)ロボティクスをはじめ、ファナックや安川電機、ABBなどの主要メーカーの協働ロボットに搭載できる。ロボットマスターにツールホルダーを装着するだけで、エンドエフェクターへのエア接続や電気接続ができるのも大きなポイントだ。
本体価格はロボットマスターが4万2000円からで、ツールホルダーは7万円から。ツールポケットは1台18万8000円(いずれも税抜き)。
また、スマートシフト・ロボティクスはツールチェンジャーだけではなく、協働ロボットを移設するためのベースユニットも製造、販売する。ベースユニットは移設先の架台(ロボットを置く台)などに取り付ける「ベースプレート」と、協働ロボット側に搭載する「マスターベース」の2つで構成される。
ここにも独自のくさび形状が採用されており、工具レスで簡単に協働ロボットを移設できるのが特徴だ。あらかじめベースプレートを用意しておけば、複数の場所で協働ロボットを柔軟に運用できる。