[特集 ロボットテクノロジージャパンvol.4]地元の雄とベンチャーは、何を見せる?/デンソーウェーブ、Mujin
地元・愛知を代表するロボットメーカー、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長、B-44)はRTJ2022に40小間で出展する。同社はロボットの単体売りから、総合的な自動化ソリューションの提案を強化する方向に軸足を移しつつあり、展示会場でもその姿勢を来場者に力強くアピールする。また、「知能ロボットコントローラ」などを手掛けるベンチャー企業のMujin(ムジン、東京都江東区、滝野一征最高経営責任者<CEO>、B-38)は、4年ぶりに中部地方の展示会に出展する。出展責任者の松本圭太さんは「この4年間で、ハードウエアもソフトウエアも技術も価格も、大幅に変わった。会場でわが社や製品群に対するイメージを更新してほしい」と意気込む。
テストが年々難しく
デンソーウェーブはロボット単体の販売にとどまらず、アプリケーション(応用事例)の開発やシステムソリューション開発、モノのインターネット(IoT)対応、アフターサービスまで含めた総合的な自動化ソリューションの提案に力を注ぐ。
「従来の単体売りのビジネスモデルはもう通用せず、今後は自動化ソリューションの提案を強化しなければ相当な機会損失が見込まれる」とソリューション事業部FAシステムエンジニアリング部の澤田洋祐部長は危機感を抱く。
その背景にあるのは、製造現場の自動化ニーズの変化だ。同社はロボットシステムを顧客に納入する前に、周辺機器も含めて実機を再現してサイクルタイムなどを検証するサービス「アプリケーションテスト」を実施する。年間で数百件ものテストをこなすが、その内容は年々難しくなっているという。
澤田部長は「3次元マシンビジョンを使ったばら積みピッキングや、ディープラーニング(深層学習)を生かした物体認識、高度で複雑な組み立て作業など、これまで自動化できなかった領域まで踏み込んでテストをする事例が増えた」と語る。
ビジネスにつながる場に
RTJ2022には40小間の規模で出展し、計15台のロボットを使って9種類のアプリケーションのデモを披露する。
60kg可搬の垂直多関節ロボットを使った工場内物流のデモや、協働ロボットの新製品「COBOTTA PRO(コボッタプロ)」を搭載した自律移動型搬送ロボット(AMR)による部品配膳のデモ、小型垂直多関節ロボットと汎用的な人工知能(AI)ソフトウエア「AI模倣学習」を駆使した複雑な組み立て作業のデモなど、製造現場でまだ自動化できていない領域を見据えたアプリケーションを多数展示する。
また、IoT関連の技術も紹介し、小間内のロボットや周辺機器の稼働状況を可視化する。豊富なデモを通じ、総合的な自動化ソリューションに注力する姿勢を来場者に力強くアピールする狙いだ。
澤田部長は「中部地方は製造業に携わる方々が多いため、製造現場をイメージしたデモを数多くそろえた。来場者と具体的な話ができ、実際のビジネスにつながるような場にしたい」と意気込む。