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2023.01.13

連載

[注目製品PickUp! vol.49]今あるAGVがAMRに転身/パナソニック アドバンストテクノロジー「@mobi」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連製品を紹介する連載企画「注目製品PickUp!」。今回は、パナソニック アドバンストテクノロジー(大阪府門真市、水野勇介社長)の搬送ロボット向けソフトウエアパッケージ「@mobi(アットモビ)」を紹介する。同製品を従来型の無人搬送車(AGV)に組み込むことで、自律移動型搬送ロボット(AMR)として運用できるのが特徴。導入や操作がしやすく、既存のAMRに導入しても使い勝手のさらなる向上が見込める。

現場に合わせて柔軟に構成変更

 パナソニック アドバンストテクノロジーは昨年10月3日、搬送ロボット向けのソフトパッケージ「@mobi」を発売した。一般的なAGVは決まった経路を走行する磁気テープ誘導方式などが多いが、同製品を組み込むことでSLAM(スラム)誘導方式での制御が可能になり、自律移動可能なAMRとして使えるようになる。

 同製品はソフト本体と搬送ロボットへのソフトのキッティング(セットアップ作業)、搬送路を作成するサンプルアプリケーション、レーザースキャナー、慣性計測センサー、キッティング済みコントローラーで構成される。

アットモビのデモ搬送ロボット

 レーザースキャナーは、適用する環境によって2D-LiDAR(ライダー)か3Dライダーのいずれかを選択でき、構築する搬送ロボットの特徴に応じた組み合わせや複数配置も可能。イノベーション基盤開発室の高橋三郎室長は「既にセンサーやコントローラーが手元にある場合はセット内容から取り除くこともできる。現場の状況に合わせて柔軟に構成を変えられる」と語る。

導入しやすく使いやすく

自動作成したマップをウェブブラウザに表示する

 既存のAGVに後付けもでき、ロボットアーム搭載の自走ロボットなどさまざまなタイプの移動式ロボットに対応する。二輪差動型やクローラー(無限軌道)型などホイールの形状も問わず使える。アットモビは、自律移動に必要な基本機能をあらかじめ備える。平均2~4週間で動作確認まで完了でき、スムーズな導入を後押しする。

 搬送ロボットがセンサーを基に構築したマップはウェブブラウザ上に表示され、パソコンやスマートフォン、タブレット端末から確認できる。マップを表示したウェブブラウザから目標地点と通過地点を指定するだけで、最短経路を自動で算出して自律移動する。これらの機能のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース、アプリケーション間で連携するための仕様)も公開しており、顧客がすでに利用中のAMR管理ソフトにも組み込める。
 高橋室長は「搬送ロボットの自律移動は試行錯誤がまだまだ必要な技術。顧客から導入や使いこなしが難しいとの声をよく耳にする。アットモビなら、既存のAMRに組み込んでも使い勝手を向上させられる」と話す。

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