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2024.07.01

連載

[注目製品PickUp! vol.67]人と協働ロボットのコミュニケーションが可能に/ARMA「UI付き電動グリッパー」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連製品を紹介する連載企画「注目製品PickUp!」。第67回は、協働ロボット用エンドエフェクターメーカーのARMA(アルマ、岐阜県各務原市、古田貴士社長)が開発したユーザーインターフェース(UI、機器やソフトウエアの操作画面)付き電動グリッパーを紹介する。電動グリッパーにタッチパネルを搭載したのが最大の特徴だ。人と協働ロボットのコミュニケーションが可能になり、より協働作業がしやすくなる。

ティーチングの作業効率が向上

 ARMAは協働ロボット用UI付き電動グリッパーを開発し、昨年11月から本格販売を開始した。
 最大の特徴は、UIとして機能するタッチパネルを電動グリッパーに搭載したこと。協働ロボット用電動グリッパーは競合他社からも数多く市場投入されているが、タッチパネルが付いた電動グリッパーは業界初(同社調べ)だという。

 一般的な電動グリッパーにはタッチパネルやそれに該当するUIがないため、外部のパソコン(PC)やロボットコントローラーを使用して爪のストロークの調整などをしていた。これに対し、同社の電動グリッパーならタッチパネルを使い、ロボットアームの手元からストロークを調整できる。
 また、ロボットコントローラー側の情報をタッチパネル上に表示できるのも大きな特徴だ。協働ロボットのアームを直接動かして教示する「ダイレクトティーチング」をした後の細かな位置調整もタッチパネル上で簡単にでき、ティーチングの作業効率が向上する。古田社長は「微調整のためにわざわざロボットコントローラーを持ち込む必要がなく、ティーチングに関わる一連の作業を全て手元で完結できるのがメリット」と説明する。

協働作業がしやすくなる

ARMAが開発したUI付き電動グリッパー

 UIの画面は自由にカスタマイズできる上、さまざまな機能を実装できる。例えば、電動グリッパーにカメラ機能や音声認識機能を搭載すれば、協働ロボットと一緒に働く作業者の様子を遠隔から確認しつつ、必要に応じて音声通話やビデオ通話で作業指示も出せる。また、近距離無線通信(ブルートゥース)対応型のスピーカーと電動グリッパーを連携させれば、作業開始や作業終了の合図を協働ロボット側から作業者に通知できる。
 カメラ機能を使えば2次元バーコードも読み取れる。そのため、動作プログラムを記録した2次元バーコードを作業者が電動グリッパーにかざせば、作業内容を簡単に切り替えられる。UIの画面上にあらかじめ複数のプログラムを用意すれば、タッチパネルを直接操作して作業内容を切り替えることも可能だ。

ARMAの主要な製品紹介(提供)

 古田社長は「協働ロボットにUI付き電動グリッパーを搭載するのは、人がスマートウォッチを装着する感覚に近い。UIを介して人と協働ロボットがコミュニケーションを取れるため、協働作業がしやすくなる」と話す。

 電動グリッパーのボディーには樹脂(ナイロン12)を採用しており、顧客のオーダーに合わせて3Dプリンターで製作する。「金属を切削加工するのではなく樹脂を積層造形してボディーを作ることで、軽量化を図ると同時にコストダウンも実現できる。3Dプリンターを使って一から造形するため、カスタマイズの要望にも柔軟に応えられる」と古田社長は述べる。
 国内外の主要な協働ロボットメーカーの製品に対応可能で、現状は爪の数やチャック仕様などで計5つのタイプの電動グリッパーをラインアップする。

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