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2024.07.16

連載

[注目製品PickUp! vol.68]タイ製AMRを日本で販売、搬送のトータル提案を強化/大同工業「DK MATRIX AMRシリーズ」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連製品を紹介する連載企画「注目製品PickUp!」。第68回は、チェーンメーカーの大同工業が昨年から国内販売を開始した自律走行型搬送ロボット(AMR)「DK MATRIX(マトリックス) AMRシリーズ」を取り上げる。タイのグループ会社が開発したタイ製のAMRで、日本製や欧州製のAMRと比較して価格競争力が高いのが特徴だ。大同工業はAMRのさらなる付加価値向上を図るため、コンベヤーなどの他の自社製品と組み合わせた搬送関連のトータルソリューション提案も強化する。

価格競争力が高い

 チェーンメーカーとして知られる大同工業は昨年夏ごろからDK MATRIX AMRシリーズの国内販売を本格的に開始し、国内のAMR市場に参入した。
 同シリーズには100kg可搬の円筒形の「SDR100」、200kg可搬の「SMR200」、台湾のテックマンロボット製の4kg可搬の協働ロボットとSMR200を組み合わせた「CMR200」の3種類の標準品がある。500kg可搬のAMRや1t可搬のAMRも開発しており、500kg可搬のAMRは近いうちに市場投入される計画だ。

 同シリーズの開発や製造を担うのは、搬送設備などを手掛けるタイのグループ会社のInterface Systech(インターフェースシステック)。「タイで製造したAMRを日本で輸入販売している。100%タイ製だからこそ、日本製や欧州製のAMRと比べると価格競争力が高い」と大同工業M&S(マーケティング&セールス)戦略部の中村隆之部長(現調達部長、部署や役職は取材当時)は語る。
 タイ製のため為替レートの影響にも左右されるが、総じて日本製のAMRの半値近くで導入できるという。

小回りの良さで差別化

4kg可搬の協働ロボットを搭載した「CMR200」(提供)

 近年は中国製のAMRも価格優位性を武器に、日本市場に攻勢をかけている。これに対し、同社は単に標準品を販売するのではなく、顧客のニーズや導入先の現場レイアウトごとに柔軟にカスタマイズして納める小回りの良さで差別化を狙う構えだ。
 ソフトウエアの使い勝手の良さも売りで、周辺環境のマッピングや各種操作設定は市販のタブレット端末やノートパソコンで簡単にできる。半日ほど講習を受ければ、AMRの経路設定から運用までできるようになる。M&S戦略部マーケティング戦略課の高瀬勇人さん(部署は取材当時)は「作業者が実際に現場でマッピングするシーンを想定してソフトを開発した」と話す。顧客の要望次第ではソフトのカスタマイズにも柔軟に対応する。

 同シリーズの停止精度はV字マーカーなどを使用した状態で±約10mmだ。傾斜は最大3度、段差は最大10mmまで走行できる。

  • AMRの停止精度を高めるV字マーカー

  • タブレット端末で簡単に操作設定が可能

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