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2024.10.18

海外

人手不足に直面! 米国製造業で「自動化は必須」に【前編】/IMTS2024

9月9日~14日の6日間、米国イリノイ州シカゴの展示会場マコーミックプレイスで「IMTS(米国国際製造技術展)2024」が開かれた。11万3947㎡の展示面積に1737社が出展。来場登録者は8万9020人を記録した。「米国の製造業では、新たに設備を導入する際、自動化も併せて検討することが当たり前になった」と多くの工作機械メーカー幹部が語る。IMTS出展各社に、会場で展示した自動化提案と米国製造業の自動化投資の現状を聞いた。

活気は戻ったか!?

行列ができた展示会場に向かう通路

 「シカゴショー」とも呼ばれるIMTSは、世界4大工作機械見本市の一つにも数えられる大規模な展示会だ。
 過去最大規模だった2018年展ほどではないが、新型コロナウイルス禍直後の22年展と比べれば、今回展はある程度活気が戻ってきたと言えるだろう。前回は出展を見合わせたり、大幅に規模を縮小した企業の一部が、今回展では再び大小間で出展していた。

 北米の設備財産業の景況はあまり良くない。自動車業界の設備投資は低迷が続く。航空機産業もコロナ禍でサプライチェーンの一部が崩れ、ボーイングの航空機事故もあって低調だ。防衛や医療など悪くない業界もあり、まだら模様だが全体としてみれば「今頃はもう少し回復しているかと思ったが、想定より回復が遅い」(日系工作機械メーカー幹部)。

この中央通路を中心に、東西南北に展示館がある

 大手~中堅は景況に関わらず計画的に設備投資する企業が多いが、ジョブショップ(中小の受託加工会社)向けは特に動きが悪い。米国では金利が高いため投資が抑制されており、米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会はIMTS後の9月18日に政策金利の0.5%引き下げを決定したが、今後も利下げトレンドが続く見通しだ。
 また米国では11月の大統領選で次期大統領が決まり、その結果次第で政策も大きく変わる。金利と大統領選の2つの要因で、ジョブショップの買い控えが発生しているという。

自動化は「必須」に

工作機械の大手が集中する南ホール。看板が見えるマザック、オークマ、ジェイテクトはいずれも日本メーカー

 足元の受注は低調だが、「引き合いは少なくない」と話すメーカーは多い。
 その理由は人手不足だ。どこも人手不足で、省人化につながる自動化や工程集約への関心がかつてないほど高まっている。インフレに伴い人件費は高騰しており、また製造業はあまり人気がない産業であることも、人手不足に拍車をかける。コロナ禍で従業員を大量に解雇した企業もあり、コロナ後の需要回復への対応に苦労する企業は多い。

 IMTSの主役は工作機械だが「米国では工作機械を新規導入する際は、何かしらの自動化機器を付けることが当たり前になってきた」と関係者は言う。
 こうした状況を反映し、IMTSでも多くの展示機に自動化機器が付属していた。機械と一体化して導入しやすい自動パレットチェンジャー(APC)を展示する企業も多かったが、産業用ロボットと組み合わせた展示も注目を集めた。

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