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2019.06.13

連載

[注目製品PickUp!vol.14]リーズナブルな単軸・直交でここまでできる【前編】/アイエイアイ「ロボシリンダー」

高剛性タイプや手首ユニットを用意

ラジアルシリンダーの構造(上)と、手首ユニット(下)

 豊富な製品バリエーションもロボシリンダーの大きな魅力の一つだ。

 例えばロッドタイプでは、「高剛性ラジアルシリンダー」タイプを用意する。これは、本体を水平に設置した場合に、ロッド先端で重量物を支持できるタイプ。先端に荷重をかけてもがたつきやたわみが少なく、荷重を受けるための直動ガイドを別途設置する必要がない。

 その他、手首ユニット「WUシリーズ」もラインナップ。ラジアルシリンダーの先端に取り付け可能なユニットで、人の手首のような動きができる。

直交ロボットを垂直多関節の代替に

直交ロボットで工作機械にローディング(IAI提供)

 ラジアルシリンダーと手首ユニットの組み合わせで何ができるか。例えば、工作機械に被削材を付け外すローディング・アンローディング作業などを自動化できる。
 直交ロボットは垂直多関節ロボットなどと比べると安価だが複雑な作業はできないイメージがあるため、工作機械のローディング・アンローディングにはこれまで垂直多関節ロボットが使われることが多かった。その作業を直交ロボットで代替できる。

 動画は自社の電動アクチュエーター部品の製造工程を撮影したもの。手首ユニットでハンドを下に向けた状態でアームを機内に差し入れ、上下動で被削材を付け外しする。ストッカーに収める時は手首ユニットの水平回転で角度を合わせる。
 動画では小さな部品を加工しているが、もっと重量のある部品にも適用できる。ラジアルシリンダーと手首ユニットがなければできない使い方だ。

 「ロボシリンダーを組み合わせた直交ロボットでも十分ローディング・アンローディングは可能。直交ロボットの方が安価で、省スペースで設置でき、構造がシンプルなためシステムの立ち上げに要する時間も短い。ローディングは垂直多関節ロボットとの固定観念にとらわれず、ぜひ直交ロボットを多関節ロボットのように使っていただきたい」(中村次長)。

強みの源泉はどこに

直交ロボットを組み合わせたコンパクトミラーの組み立てシステム

 ラジアルシリンダーや手首ユニットの他にも、モーターをサイズアップせずに出力を上げられるコントローラー「パワーコン」や、エンコーダーの原点位置を機械的機構で記憶できる「バッテリーレスアブソリュートエンコーダー」搭載アクチュエーターなど、独自技術を組み込んだ製品を多数そろえる。 

 本社併設のショールームでは、パワーコン搭載のロボシリンダーからなる直交ロボット3台を組み合わせ、コンパクトミラー(折り畳み式の手鏡)の組み立てシステムを展示する。

 このように多くの製品バリエーションを持ち、価格競争力にも優れるロボシリンダー。後編ではそのルーツをたどり、強みの源泉を探る。

――後編へ続く
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)



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