生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2022.12.23

リニアコンベアを提案の核に/ヤマハ発動機 江頭綾子ロボティクス事業部長 インタビュー

「2024年以降、ロボットや自動化システムの需要はこれまで以上に高まる」とヤマハ発動機ロボティクス事業部長の江頭綾子執行役員は語る。その時を見据え、同社はロボットなどを組み立てる浜松ロボティクス事業所の大幅拡張を急ぐ。高いシェアを誇るスカラロボットに加え、垂直多関節ロボットや直交ロボットなどさまざまな産業用ロボットをラインアップするが、「提案の核となるのは、リニアコンベア」と江頭事業部長は語る。その戦略とはいかなるものか、江頭事業部長に話を聞いた。

ロボティクス事業所を大幅拡張

「ロボティクス事業所の大幅拡張を進めている」と話す江頭綾子ロボティクス事業部長

――今回は浜松市北区にあるヤマハ発動機浜松ロボティクス事業所にうかがいましたが、かなり大規模に工事をされていますね。
 浜松ロボティクス事業所には製造、販売、技術など各部門を置いているのですが、現在大規模に増築を進めています。ロボットや、電子部品を基板にセットする表面実装機を組み立てる工場は約1.8倍の規模に拡大し、生産能力は約2倍になる見込みです。2024年には完成予定です。

――それだけ、ロボットの需要や受注も増えている?
 中国の売上比率が高いため、「ゼロコロナ政策」による中国経済の低迷で、足元の受注は落ちています。また23年も経済が不透明ですが、中長期で見れば今後確実に伸びる分野ですので、24年以降はこれまで以上に需要が高まると考えています。21年は受注が好調で、生産が追いつかず、納期が延びてしまいました。増築が終わって生産能力が高まれば、こうした心配はなくなります。

――どんな分野で需要が高まっていますか?
 デジタル化やグリーン化(環境負荷低減)に対応するための設備投資需要があり、この分野は上昇傾向にあります。また、新型コロナウイルス禍を受けてサプライチェーンの見直しが進み、製造業の国内回帰も各国で始まっています。先進国で製造業をするには自動化が必須ですから、ロボットの需要が伸びています。大型のスカラロボットで電気自動車(EV)のバッテリー部品をハンドリングするなど、EV関連の需要も増えています。

TOP