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2021.05.06

工場から人を消す! 画像検査からロボットへ【前編】/リンクス 村上慶社長

3Dセンサーは一つの方式に定まらない

光切断方式の3Dセンサー、LMIテクノロジーズ製「Gocator(ゴケーター)」シリーズ

――もう一つのトレンドの3Dセンサーとは?
 普通の写真のような平面、つまり2Dではなく、奥行きのデータまで取得できるカメラです。2Dではできなかった作業が可能になり、製造現場での導入が進んでいます。例えば、高さ方向の計測や、傷などの凹凸の検出、こういったものは3Dでなければできません。しかし、3Dセンサーは2Dと異なり、目的や用途に応じて測定方式を変える、つまりは都度異なる3Dセンサーを検討しなければなりません。

――それはなぜ?
 2Dであればカメラはカメラであり、変わったとしても解像度くらいで、あとは対象物が変わったとしてもソフト上の処理で対処できます。3Dの場合は、例えば電子部品など微小で精密な物を計測する場合や、バッテリーや木材など広い範囲を高速に計測する場合、スマートフォンの液晶など透明な物を計測する場合でそれぞれ方式が変わってきます。それらの目的に応じて最適な3Dセンサーを、的確なノウハウに基づき選択しなければなりません。

フォトネオの縞投影方式の3Dセンサー

――例えばどんな方式がありますか?
 人の目のように2つのカメラで見る「ステレオ方式」や、帯状のレーザー光を走査する「光切断方式」、縞(しま)模様などのパターンを照射する「縞投影方式」、レーザーの反射時間で見る「ToF(タイム・オブ・フライト=飛行時間)方式」などがあります。これらはそれぞれ特徴が異なり、また同じ方式でもメーカーごとに得意とする用途が異なります。用途や目的に合わせ、最適な物を選ぶだけでも一苦労です。

――リンクスが扱っているのはどの方式の製品ですか?
 先ほど挙げた方式はひと通り扱っており、ユーザーの目的に合わせて最適な方式、ブランドの製品を提案できます。マシンビジョンという限られた分野で、いくつものブランドをそろえているのはそのためです。わが社がメーカーだったら、ここまでのラインアップをそろえること不可能ですね。技術商社ならではの強みと言えます。

ばら積みピッキングに特徴生かす

「用途ごとに適した方式やブランドが違う」と話す村上社長

――用途に適さない3Dセンサーを使うと、どのような問題が起こりますか?
 例えば、3Dセンサーならではの用途の一つに、ばら積みピッキングがあります。樹脂製のコンテナ内に雑然と積まれた部品を、一つ一つつかみ上げる動作です。積まれた部品を上から取っていくと、つかみに行く部品の高さがどんどん下がります。実は、3Dセンサーは製品によって、データを取得できる深さ(奥行き)の幅にかなり差があります。高低差に対応できる製品でないと、「底の方にある部品を認識できない」といった事態にもなりかねません。その他、精度、速度などさまざまな要素を考慮する必要があります。

――適した製品を選ぶことは重要ですね。
 製品や製品同士の最適な組み合わせを選ぶのは難しいですが、リンクスにお声がけいただければ、幅広いラインアップの中から最適なものを提案できます。また2018年からは「ロボティクスソリューション」事業も始めました。3Dセンシング技術を生かし、検査だけでなく搬送やピッキングの自動化も支援します。

――新規事業ですね。それではその辺りの話を、後編でじっくりうかがえればと思います。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)



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