[注目製品PickUp!vol.21]高精度な一体型アクチュエーターユニット【前編】/ニコン「C3 eMotion」
発想は昔から、しかし競合はほぼなし
ニコンがiREX2019で披露した新製品「C3 eMotion」は、垂直多関節ロボットの関節部分などに使われるアクチュエーターだ。アクチュエーターとはエネルギーを運動に変換する動力機構のことで、ロボットの関節ユニットではモーターや減速機、エンコーダー、ドライバー、ブレーキで構成される。ニコンはエンコーダーのメーカーだが、その他の要素部品も組み合わせたユニットとして提供する。
「ユニット化の発想は昔からあるが、ケーブルなどを内側に通せる中空型で製品化されたものはほぼない。また当社の一番の強みであるエンコーダーを2個搭載し、そこから得られるトルク(回転力の大きさ)の情報を出力できる商品となると、少なくとも国内に競合製品はない」と、エンコーダ事業室事業推進部マーケティング課の田口洋課長代理は説明する。
極端にいえば、C3 eMotionのほかにアームやケーブルがあれば、顧客が独自に、世界で一つだけのロボットをつくれる。
モーター出力が60Wの「IAU-60」と、200Wの「IAU-200」の2つをリリースした。「すでに試作品を大手顧客に使ってもらい、ブラッシュアップしている」(田口課長代理)。
オープンな「EtherCAT」を採用
一体型ユニットのC3 eMotionを採用する大きなメリットに、省配線化もある。モーターやブレーキなどを集めてロボットを組み立てる場合、それぞれに配線があるため煩雑になりがち。ユニット化したC3 eMotionを使えばこれを解消できる。さらに、C3 eMotionを複数組み込む場合は、C3 eMotion同士をケーブル1本で連結するだけで接続できるため、ロボット全体を大幅に省配線化できる。
そのケーブルには通信規格「EtherCAT(イーサキャット)」を採用することで、上位コントローラーとの接続や通信の高速化を実現した。
「イーサキャットは拡張性が高く、多くの企業が対応機器を展開するオープンな通信規格であることも利点」と田口課長代理は指摘する。