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2020.04.27

連載

[注目製品PickUp!vol.23]プログラムは自分で!ハイエンドの取り出しロボット【前編】/ハーモ「HRXⅢ-iシリーズ」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連の製品を取り上げる連載企画「注目製品PickUp!」。23回目の今回は、長野県南箕輪村に本社を構えるハーモ(濱秀明社長)の取り出しロボット「HRXⅢ-iシリーズ」を紹介する。射出成形機から樹脂の成形品を取り出す取り出しロボットのハイエンドモデルで、複雑なプログラムをユーザー自身で作成できる機能「スマートプログラム」を専用コントローラーに搭載したのが最大の特徴だ。

取り出しロボットだけではなく周辺機器も

 ハーモは射出成形品の取り出しロボットや、樹脂材料の熱風乾燥機、金型の温度調節器など射出成形機の周辺機器を開発、製造、販売する。1957年に濱富夫会長が創業した。

 射出成形機とは、樹脂を成形加工する産業機械だ。
 樹脂の成形品は一般的に①ペレットと呼ばれる米粒状の樹脂を熱で溶かし②溶かした樹脂に圧力を加え金型に流し込み③冷やして固めて④固めた樹脂を取り出しロボットと呼ばれる専用ロボットで取り出す――といった工程で作られる。

 日本ロボット工業会(会長・橋本康彦川崎重工業副社長)によると、会員企業ベースで2019年の取り出しロボットの出荷台数は前年比18.8%減の7243台で、総出荷台数に占める比率は4.1%だった。産業用ロボット全体に占める割合は小さいが、樹脂製品の生産を自動化するには取り出しロボットが欠かせず、射出成形機の主要な周辺機器の一つとして広く普及している。

 取り出しロボットメーカーは同社以外にも複数あるが、営業推進部営業推進課の河口尚久課長は「熱風乾燥機など、射出成形の材料系の周辺機器も製造している取り出しロボットメーカーは国内ではわが社だけ」と自社の特徴を説明する。

スピードと最大可搬質量を向上

ハイエンドの取り出しロボット「HRXⅢ-iシリーズ」

 今回紹介する「HRXⅢ-iシリーズ」は2017年に発売したハイエンドの取り出しロボットだ。射出成形機は一般的に「型締め力」と呼ばれる、金型を締める圧力の大きさで機械のサイズが決まるが、iシリーズは75t~1300tまでの型締め力の射出成形機に対応する。
 型締め力に応じて100/150/350/550/800/1000タイプを用意し、機構などが異なる全7シリーズをそろえる。

 HRXの後に付くローマ数字の「Ⅲ」は第3世代を意味する。第1世代を05年、第2世代を11年に発表した。
 第3世代ではアームの設計を見直し、スピードと最大可搬質量の両方を高めた。100タイプでは7kg、1000タイプでは30kgの最大可搬質量を誇る。

 HRX自体は、価格に応じて「a」「b」「i」の3種類に分かれる。aシリーズはリーズナブルな取り出しロボット、bシリーズは標準機、iシリーズはハイエンド機との位置付けだ。

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