[SIerを訪ねてvol.18]生産ライン全体をワンストップで【前編】/津田駒工業
2018年から開始
金沢市随一の繁華街、片町から南西方向に歩いて10分。北陸鉄道石川線始発の野町駅のすぐ近くに津田駒工業の本社がある。金沢駅からはタクシーで南方向に15分ほどの距離にある。
創業は1909年で、100年を超える歴史を持つ。現在は繊維機械と工作機器の2つが大きな事業の柱だ。工作機器とは工作機械に搭載する機器などのことで、同社は主に数値制御(NC)円テーブルやマシンバイス、ジグ(補助器具)などを製造、販売する。
この他、鋳物部品を製造する鋳造事業や、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の自動成形装置を開発、製造するコンポジット機械事業も手掛ける。
今回紹介するSIer事業はコンポジット機械事業の傘下にあり、「TRI」のブランドで活動している。TRIとは「Tsudakoma Robotic Integration(ツダコマ・ロボティック・インテグレーション)」の略で、新規事業として2018年から開始した。
グループ全体の技術力でニーズに対応
TRIでは、工作機器事業で培ったNC円テーブルやジグ、子会社の共和電機工業(金沢市、山田茂生社長)が手掛ける搬送装置やストッカーなど、グループ全体の技術力を生かして顧客の自動化ニーズに応じる。
ロボットシステムだけではなく、その前後工程で使われるワーク(被加工物)の搬送装置やワーク収納用のストッカーまで含め、生産ライン全体をワンストップで提案できるのが最大の強みだ。坂井一仁取締役は「ワークの入り口から出口まで、一気通貫でシステムを構築するのが基本スタンス」と説明する。
TRIのメンバーは6人で、全員がエンジニアだ。機械設計や電気設計、ティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)など、担当ごとにそれぞれ得意分野があるが、坂井取締役は「6人しかいないので、メンバー全員がさまざまな技術をある程度は身に付ける必要がある」と語る。
顧客からの引き合いや問い合わせの窓口は、工作機器事業やコンポジット機械事業の営業担当が務める。TRIのメンバーと営業担当が連携し、ロボットシステムの構想設計から仕様決め、製造、納入までをワンストップで対応する。