生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2024.06.12

サービスが競争力の源泉に/スギノマシン

スギノマシン(富山県滑川市、杉野良暁社長)は自動化装置の導入をサポートする「自動化コンサルティングサービス」を中小企業向けに提供する。「今やサービスは生産設備の機能の一つといえるほどに必要不可欠な存在。またサービスの差別化は競争力の源泉にもなり得る」と杉野岳副社長は語る。工程の自動化だけでなく、生産管理システムも提供し、工場全体の効率化もサポートする。

ワンストップで工場を自動化

「サービスは生産設備の機能の一つといえるほどに切っても切り離せない存在」と語る杉野岳副社長

 スギノマシンは設備を導入する前のビフォアサービスとして、「自動化コンサルティングサービス」を2022年に開始した。ロボットや自動化装置の導入を中心に工場の自動化を支援する。製造現場の調査から概要の提案、自動化システムの開発、導入までの一連の流れがワンストップで完結する。
 「サービスは製品の機能の一つといえるほどに切っても切り離せない存在。生産設備も今やかつてのように機械単体では売れない時代になった。これからはサービスが必須であり、その差別化が競争力の源泉になる」と杉野岳副社長は話す。
 
 「自動化が必要と感じているがロボットの導入方法が分からない」「自動化を計画したが、具体的な活動につながらない」との悩みを抱える中小企業を主なターゲットとして据える。現在はその中でも、特に溶接加工向けの提案に力を入れる。
 溶接は勘やコツがものをいう高度な作業が多いが、技術伝承や人手不足、安定した品質の確保などの課題が顕在化しており、自動化の需要が高いと見込む。また、溶接の他に、ワーク(加工などの対象物)の傷の有無を検査する自動化提案にも注力する。

 産業用ロボットは同社が独自で開発、製造する「CRbシリーズ」を提案することが多い。CRbは「Connected Robot(コネクテッドロボット)」の略称だ。狭所でも設置できる構造のため、機械の設置スペースが限られる小規模な製造現場でも導入しやすい。
 また、防水・防じん機能も有するため、さまざまな環境で活用できる。可動域をカスタマイズできるため、現場の環境に応じて柔軟な提案ができるのも強みだ。「わが社はこれまで、ニッチなニーズに応えることで顧客からの信頼を得てきた。ロボット分野でもそれは変わらない」と杉野副社長は力強く語る。

最適な自動化を提案

RI事業部の大西武夫事業部長と産業用ロボット「CRbシリーズ」

 自動化コンサルティングサービスは、工程の自動化だけでなく、工場全体の生産管理システムの導入もサポートする。「自動化設備の導入はその工程だけが改善され、全体のリードタイム短縮や工数の低減にはつながっていないことが少なくない」と杉野副社長。初めに工場全体の稼働状況を明確にすることで、自動化が効果的な工程を洗い出し、最適な提案をする。

 生産管理システムは単体だけでなく、自動化装置と組み合わせた提供もする。同サービスを手掛けるRI事業部の大西武夫事業部長は「顧客からの評価は高い。両商品のシナジー効果をアピールして、販売を伸ばしたい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉) 



※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2024年6月号でもお読みいただけます。

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