[特集 国際ロボット展vol.6] この分野が熱い【その2】物流・マテハン/オークラ輸送機、IHI物流産業システム
「スマート物流」試作機を披露
マテハン機器メーカー大手のオークラ輸送機は「スマートデバンニング&パレタイジング」をテーマに、2つの目玉を用意する。デバンニングは主に貨物をコンテナから取り出す荷降ろし作業で、パレタイジングとは荷積み作業のことだ。
一つは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「スマート物流サービス」分野で産学共同研究が進められるデバンニング・ロボット・システムの試作機だ。2019年から佐川急便や早稲田大学など合計4者のチームが取り組み、オークラ輸送機はそれをサポートする。今年4月から佐川急便の現場で実証実験をし、23年の発売を目指す。テーマは「荷物データを自動収集できる自動荷下ろし技術」だ。
先端的な画像認識技術や人工知能(AI)で、貨物コンテナ内のサイズや種類がばらばらな荷物を判断し、ロボットが毎時500個のスピードで高速、確実に荷降ろしをするシステム。営業企画室の担当者は「荷物の読み取り精度は世界トップクラス。研究チームの最先端の取り組みをご覧いただきたい」と語る。
エンジニアリング力を訴求
もう一つは、多品種のケースを瞬時に個別認識して自動で積みつけられる、自社開発のパレタイジング・ロボット・システム。パレットはもちろん、これまで自動化が難しかったカートラックやカゴ車への積みつけにも対応する。出荷現場では、さまざまなサイズと種類の荷物がトラックに向けて流れる。それをロボットがカートラックなどに積みつける。「物流現場では荷物の種類や大小がばらばら。従来は人がやっていたこまやかな荷分け作業を、ロボットを使って自動化する提案」と担当者は説明する。
同社はコンベヤーをベースにマテハン事業を展開してきた。物流の現場でも、トレンドとして10年ほど前からロボットの活用にも力を入れる。足元ではネット販売を中心に、小売業や卸売業などの流通物流分野が好調だ。「日本の電子商取引(EC)化率はまだ低く、今後さらなる需要増が見込める」(担当者)という。物流倉庫は労働集約の典型で、人手不足が直撃している。自動化はロボットが全てではなく、むしろコンベヤーはじめさまざまな機器と組み合わせたシステムが重要。ロボットもツールとして使いこなし、システム全体の能力を高めるエンジニアリング力の向上に取り組んでいる。