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2025.02.26

連載

[注目製品PickUp! vol.77]軽量で実用性を重視したヒト型ロボット/REALMAN ROBOTICS「RMC-AIDAL」

REALMAN ROBOTICS(リアルマンロボティクス、東京都江東区、易峰社長)が2024年12月に国内販売を開始した「RMC-AIDAL」は、上半身が双腕のヒト型、下半身が自律走行型搬送ロボット(AMR)のロボットだ。AMRで水平移動ができ、昇降機構で垂直方向にも広い作業エリアを持つ。NVIDIA(エヌビディア)の制御ユニットを搭載し、人工知能(AI)制御が可能だ。「米国では既に実用途での導入実績がある。研究用や、技術を示すための見せ物ではない、実用向けのヒト型ロボット」と海外セールスマネジャーのシェリー・チェン氏は言う。

「人向けに設計された空間」でも動きやすい

 RMC-AIDALは、REALMAN ROBOTICSの親会社である中国の協働ロボットメーカーRealMan Intelligent Technology(リアルマン・インテリジェント・テクノロジー)が開発したヒト型ロボットだ。
 同社はロボットの要素部品から自社で開発するメーカーで、関節の減速機などを徹底的に小型化・薄型化して協働ロボットの大幅な軽量化を実現した。RMC-AIDALに搭載するロボットアームも、リーチ長610mm、定格可搬質量5kg(最大9kg)で本体質量は7.2kgと軽量だ。両腕を使えば最大18kgまで扱える。

AI対応で教示もしやすい

AMRで移動できる双腕ロボットRMC-AIDAL

 上半身が軽いため、下半身のAMRは横幅450mm×奥行き650mmとコンパクトにでき、人向けに設計された空間でも動きやすい。本体質量は135kgで、一般的な耐荷重の床で使用できる。

 頭部にはステレオ式の3Dビジョンセンサーを搭載し、奥行き情報と色情報を取得できる。両手首にも3Dカメラを搭載し、細かい作業にも対応する。NDIVIA製のAI用ユニットを搭載しており、カメラからの情報に基づきAI制御が可能だ。

シェリー・チェン海外セールスマネジャーによるAI学習のデモ

 AIに作業を学習させやすいよう、専用の教示システムも開発した。
 右動画のように双腕機構の教示システムを人が装着すると、人の動きに同期してロボットが同じ動きをする。AMRの移動やグリッパーの開閉なども手元のボタンで簡単に指示できる。
 この状態で、簡単な作業なら数日、複雑な作業なら数週間動きを教え込めば、その後はAI制御で自動でできるようになる。
 カメラの映像を遠隔地に送信すれば、遠隔地から動作を学習させることも可能だ。
米国で稼働するロボットのAI学習をフィリピンから行ったこともあり、もちろん日本から海外のロボットを学習させることもできる。

米国で稼働するタオルを畳むロボット

 同ロボットは米国を中心に海外では既に導入実績がある。「近年、ヒト型ロボットを開発するメーカーが増えているが、研究用であったり、技術をプレゼンテーションする用途のものが多い。一方RMC-AIDALは、現場で使ってもらうために開発したロボット」とチェン氏は強調する。
 想定する用途は工場の製造作業や建設現場の作業、点検作業など幅広い。このロボットをベースに他の技術と組み合わせて製品化する二次開発にも使用できる。

 「ロボットが扱いにくい柔軟物もハンドリングできる。米国のホテルでタオルを畳む作業をさせた事例を動画にしたところ、欧州で大きな反響があった。日本のユーザーにもRMC-AIDALをもっと知ってもらいたい」とチェン氏は話す。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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