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2019.08.27

「単純作業の自動化」を使命に、取り出しロボットから物流、SIerへ【後編】/スター精機

スター精機(愛知県大口町、塩谷国明社長)は射出成形機用の取り出しロボットなどを製造販売する。塩谷社長は「わが社の使命は、人がやっていた単純作業を自動化すること。人にはより付加価値の高い仕事に従事してもらいたい」と語る。主力事業の取り出しロボットはその一環だ。最近は取り出しロボットで培ったコア技術を生かし、新しい市場の開拓にも挑む。その一つが物流で、直交型のパレタイジングロボットを独自に開発した。さらに将来は、射出成形機の周辺の自動化システムを構築するシステムインテグレーター(SIer)事業も強化する考えだ。

「全体で見ると落ち込んでいない」

「取り出しロボット単体では減少しているが、会社全体で見るとそこまで落ち込んではいない」と話す塩谷国明社長

 スター精機は射出成形機用の取り出しロボットを中心に、工場の自動化(ファクトリーオートメーション、FA)関連装置やロボットハンド関連の各種部品を製造販売する。
 取り出しロボットは、射出成形機が作ったプラスチック製品を金型から取り出す役割を担う。射出成形機に搭載する周辺機器の一つなので、その需要は射出成形機の受注台数に左右される。

 日本産業機械工業会(会長・斎藤保IHI会長)によると、射出成形機などプラスチック加工機械の2019年1月~6月の受注総額は前年同期比23.4%減の1099億円と大幅に減少した。射出成形機の需要は減速傾向にあり、取り出しロボットも「更新需要などもあるためそこまで大きく減少していないが、好調だった17年や18年と比較すると受注は落ち着いた」と塩谷国明社長は直近の市況を分析する。
 一方で、「わが社はFA装置や検査装置なども手掛けており、これらの装置を使った自動化の需要は日本を中心に根強い。取り出しロボット単体では減少しているが、会社全体で見るとそこまで落ち込んではいない」とも強調する。

初めは払い落しから

スター精機の原点、自動払い落とし機の開発1号機(提供)

 創業は1964年。もともとは自動車などのプラスチック製品を製造する国盛化学(愛知県小牧市、塩谷陽一社長)の一部門で、自社の製造現場向けに射出成形機で作った製品を確実に金型から取り除くための自動化装置を内製していた。当時は製品を金型から取り出すのではなく、金型から払い落とす装置だった。こうした自動化装置を外販する事業として、スター精機の前身のスター産業が誕生した。

 その後、69年に現社名のスター精機に改称した。70年代には、製品開発の軸足を払い落とし機から取り出しロボットに移し、全軸サーボモーター駆動の取り出しロボットや大型の取り出しロボットなどを次々と市場投入した。そして2007年には、ロボットハンドや「チャッキングパーツ」と呼ばれるハンドを構成する部品などを設計製作する専門の部署として、アインツ事業部を立ち上げた。

取り出しロボットを生産する主力工場の出雲工場(提供)

 創業してからの55年間で海外展開にも積極的に取り組んだ。1987年に台湾に現地法人を設立したのを皮切りに、イタリアや米国、韓国、シンガポールなどに次々に拠点を設けた。今では14の国と地域に16の現地法人を構える。中国に2カ所、イタリアと米国にそれぞれ1カ所の生産拠点を持ち、グローバルでの販売体制と生産体制を整えた。
 イタリアと米国の工場は、日本から取り寄せた部材を組み立てて現地の顧客に供給する役割を担う。一方、中国では地産地消で、部材も現地で調達するという。

 一方、日本では現在、全国14カ所に営業拠点を持つ。また、本社と島根県出雲市の2カ所に生産拠点を設けている。本社工場ではFA装置や検査装置など、出雲工場では取り出しロボットをそれぞれ生産する。

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