[特集 国際ロボット展vol.8] 狙うは本丸・物流業界/ヤマハ発動機、アイエイアイ、ユニバーサルロボット(1/3)
さまざまな環境下で搬送「十分見ごたえ」
67年にわたりヒトとモノを運び続けてきたヤマハ発動機は「搬送」をテーマに出展する。出展コンセプトは「μ to km(ミクロン・トゥ・キロメートル)~Robotics Transportation(ロボティクス・トランスポーテーション)~」だ。
製造現場での搬送は生産に直接寄与しない時間だが、ヤマハはさまざまな機能を与え、つなぎ合わせることで、新たな付加価値を持たせる。ロボティクス事業部の福川義章営業統括部FA営業部長は「ミクロン単位の精密位置決めから、装置間、工程間、工場間のキロメートルの移動まで、クリーンな環境はもちろん、3K職場や屋外まで、さまざまな環境での搬送を可能にする」と語る。
小型の物を扱う生産ラインでの提案として、リニア・コンベヤー・モジュール(LCM)「R200」を出展する。会場では、非接触給電と組み合わせ、スキャンカメラと組み合わせたLCMの活用法を提案する。
さらに「安全だけど遅い」の概念を覆す7軸協働ロボットを出展する。7軸で狭小エリアでの作業を可能にし、一般的な協働ロボットの低速動作に加え、高速動作モードも選択できる。全軸に配した高精度力覚センサーで、精密動作と安全性を両立した。
複雑なデータの設定が要らず、ピッキング作業を省人化できる「3Dピッキング」も出展。画像解析技術の応用で、プログラムの設定やCADデータ(設計データ)を使わず、複数の種類のボルトなどを小分けにでき、正確なピッキング作業と管理で、省人化に貢献できる。生産ライン間をつなぐ搬送用ロボットとして「自律移動ロボットAFV」を出展。次世代の自動化を牽(けん)引する考えだ。
また、機能に応じてカスタマイズができる、組み立て式のタフネス無人搬送車(AGV)「COW-el」を出展する。床面が整備された最新の工場だけでなく、凹凸や油にさらされるような悪条件の製造現場にも対応する。走らせるルートは「ビニールテープ」を張るだけで、レール埋設工事や、マッピングなどのプログラムも不要だ。
今年7月に発売予定の、工場内外の自動搬送用電気自動車(EV)「eve autonomy(イブ・オートノミー)」も出展。パソコンで簡単にルート変更ができ、手軽に情報収集できるだけでなく、AGVには難しい屋外の風雨や傾斜、段差のある環境でも搬送可能にした。
福川部長は「国際ロボット展は集客力が高く、来場するユーザーの要求を確認できる。参考出展品から販売製品を含めさまざまな商材をそろえた。見ごたえあるはず」と意気込みを語る。