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2018.11.01

連載

[気鋭のロボット研究者vol.1]ロボットハンドをもっと器用に/早稲田大学シュミッツ・アレクサンダー准教授【前編】

オーストリア出身のシュミッツ・アレクサンダー准教授は、ロボットが人と共存し、同じ空間で働くために必要な技術を研究する。その一環で、多数の3軸センサーで構成されるロボットハンド用触覚センサーを開発した。「物をより器用に持つことが可能になる」と話す。

人とロボットの協働がテーマ

シュミッツ・アレクサンダー准教授は「人と協働できるロボット」を研究する。修士課程でこのテーマに出会い、以降一貫して協働ロボットに役立つ要素技術の開発に取り組む。

 学生時代はオーストリアや英国、スイスなど欧州のさまざまな国で研究したが、博士号取得後は「人間と共存するロボットの研究では、早稲田大学にある菅野重樹教授の菅野研究室は世界的に有名。ぜひともそこで研究したいと思った」と来日を決めた。

指先に小さなセンサーを多数

ハンドに触覚センサーを組み込む

英国シェフィールド大学で博士号を取得した時の研究は、イタリア技術研究所との国際共同研究だった。人間の子どもを模した人型ロボット「iCub(アイカブ)」の手の触覚センサーの開発を担当した。

 その技術を応用し、ロボットハンド用触覚センサーを独自に開発。各指に数十個のセンサーを配置したもので、「各センサーは非常に小さいが、面に対して垂直方向だけでなく、水平方向の力も検出できる。つかんだ物の重みで指の表面が下に引っ張られる強さなども検出でき、より器用で繊細な把持が可能」という。

この新技術を普及させるため、2018年8月には大学発のベンチャー企業、XELA・Robotics(ゼラ・ロボティクス)を設立。ロボットハンド用センサーの販売を始めた。「製品化や企業の立ち上げは、研究者の私には慣れないことだらけで苦労が多かったが、ようやくここまでこぎつけた」と感慨深げに語る。

——後編に続く


(ロボットダイジェスト編集部)



シュミッツ・アレクサンダー准教授
早稲田大学 理工学術院 創造理工学研究科 総合機械工学科

2007年オーストリア・ウィーン大学で修士号、11年英国シェフィールド大学で博士号取得。同年10月、日本学術振興会の外国人特別研究員に採用され、早稲田大学菅野研究室の博士研究員に。14年同大学大学院の創造理工学研究科助教、17年より現職。オーストリア・ウィーン出身の36歳。

※この記事は「月刊生産財マーケティング」2018年6月号に掲載した連載「今に花咲き実を結ぶ」を再編集したものです。

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