バイスメーカーが提案する多品種少量生産の自動化とは【前編】/酒井正一ナベヤ常務
周辺機器が自動化にどう役立つか
――ロボットを使用した自動化システムを提案しています。
加工する素材をつかむバイスを自動で交換できるシステムです。16年からスタートしており、当社単体ではなくSIerや工作機械メーカー、ロボットメーカーと連携しています。
――無人化や省人化のニーズが高まっていますからね。
始めた当初はそこまで感じませんでしたが、特に昨年から人材不足や働き方改革などでその傾向が強くなっていると感じます。しかし中小企業では「どのようなことができるのか分からない」というのが現状です。わが社は大手から中小まで幅広い企業が顧客なので、どんな規模の企業でも使えるような切り口を考える必要がありました。
――「バイス」と「自動化技術」はイメージがつながりにくいです。
ナベヤとして具体的にどのようなことをすれば自動化に貢献できるのか、最初は分かりませんでした。バイスの役割は、素材をしっかりとつかみ、機械に取り付けることでずれのない高精度な加工をサポートすることです。バイスを単体を顧客にそのまま届けても、自動化を進めるヒントにはなりにくいでしょう。かといって、自分たちで自動化システムを作るのも難しい。そこで、ロボットメーカーに、ロボットシステムを構築するSIerを紹介してもらいました。
――ロボットとバイスをどう自動化につなげたのですか?
自社製品を使った自動化システムのパッケージを作り、その構築を担うSIerまで含めてまとめて提案できるようにしました。右の動画のように、加工素材を設置したバイスごと機械に着脱するシステムです。普通はバイスを機械に固定し、加工素材だけを付け替えますが、それだと加工素材の形状が変わればロボットハンドの調整や交換作業が必要で、時間やコスト、労力がかかります。中小企業ではいろいろな部品を加工する多品種少量生産がほとんどです。そこで使用するバイスを共通にし、ロボットハンドをバイスに対応させました。加工素材の形状が変わってもハンドの調整や交換作業は必要ありません。