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2019.07.08

連載

[注目製品PickUp!vol.16]「安全第一」を地で行く協働ロボット【前編】/ダイアディックシステムズ

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連の製品を取り上げる連載企画「注目製品PickUp!」。16回目を迎えた今回は、電動シリンダーやサーボモーターを製造、販売するダイアディックシステムズ(金沢市、鶴海正隆社長)が2018年10月に発売した協働ロボット「DSR02-400」を紹介する。鶴海社長は「本質安全を目指して開発した」と話す。本質安全とは何だろうか? 前編では、本質安全を実現するために取り入れた工夫やDSR02-400の特徴を解説する。

スカラタイプの協働ロボット

 ダイアディックシステムズは、電動シリンダーやサーボモーターを開発、製造、販売する。設立は1995年で、もともとは電動シリンダーの制御技術の開発を手掛けていた。2000年ごろから自社で電動シリンダーを作り始め、メーカーに転身した。

 電動シリンダーやサーボモーターの開発で培ったノウハウを生かして新たに開発したのが、今回の「注目製品PickUp!」で紹介する協働ロボット「DSR02-400」だ。
 DSR02-400は、水平多関節(スカラ)タイプの協働ロボット。回転軸が3つと上下に動く直線軸が1つあり、計4軸で構成される。最大可搬質量は2kgで、動作半径は400mm。18年10月に発売した。

人を傷つけたくてもできない

丸みを帯びたかわいらしいフォームが特徴的だ

 協働ロボットの最大の特徴は、適切なリスクアセスメント(リスクの分析と対処)をすれば安全柵なしで設置でき、人と一緒に働けること。その点ではDSR02-400も他社の協働ロボットと同じだが、一番の違いは「本質安全」の設計にあるという。
 「人を傷つけたくてもできないというのが本質安全で、そこを目指して開発した」と鶴海正隆社長は話す。

 他社の協働ロボットは、人との接触を検知するセンサーなどを搭載して安全性を確保しているものが多い。DSR02-400もこうしたセンサーを搭載しており、人にぶつかったらすぐに停止する機能を持つが、そもそも各軸を動かすのに使われる自社製のサーボモーターの最大出力がわずか16Wしかなく、人が押しても押し返せるぐらいの力しか出せない。同等程度のサイズのロボットと比べても特に小さい出力だ。
 「そもそもセンサーがなくても十分に安全性を確保できる」と鶴海社長は強調する。

「本質安全を目指して開発した」と話す鶴海正隆社長

 本質安全へのこだわりをデザインにも反映した。DSR02-400は、丸みを帯びたかわいらしい形状が特徴で、白とピンクが人に優しそうな雰囲気を醸し出す。北川佳巳営業推進部長は「人と一緒に働くので、人がなるべくストレスを感じにくいデザインとした」と説明する。

 この他、人にぶつかっても痛くないよう、DSR02-400の外側は柔らかい樹脂製のカバーで覆った。
 製造現場に行くと、よく「安全第一」の看板を目にする。本質安全の考え方を設計に取り入れたDSR02-400は、まさに安全第一を地で行く協働ロボットと言えそうだ。

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