担当者は全社員の2割強、「サービスファースト」掲げる意味/ファナック 山口賢治 社長兼CEO
「壊れてから」から「壊れる前」に
――このところ世間では「ものづくりからことづくりへ」「デジタルトランスフォーメンション(DX)の時代」とさかんに言われます。こうした時代の変化に御社のサービスはどう対応されるのでしょうか。
サービスは従来、「壊れてから動く」ものでした。しかし、モノのインターネット(IoT)の発達で予防保全、つまり壊れる前にその予兆を検知できるようになりましたので、対応を加速する必要があります。
――現段階で具体的に取り組まれていることは。
わが社の取り組みで象徴的なのは「ゼロダウンタイム(ZDT)」というシステムです。これは主に大手自動車メーカーの生産ラインで使われるロボットの予期せぬ停止時間をゼロにする取り組みでした。例えば、ロボットの減速機に注目し、その挙動を遠隔で調べることで2~3週間前に故障の予兆を検出するものがあります。これを基に保守スケジュールを組んで減速機の交換をすれば、顧客のラインが長時間停止することがなくなります。今はこのZDTで2万台以上のロボットが稼働しています。この考え方をCNC(工作機械用の数値制御装置)にも広げて、工作機械の予防保全に取り組みたいと考えています。
協業でさらに進化
――外部との協業は時代の要請でもありますね。
2019年9月に、富士通、NTTコミュニケーションズと共同で「デジタルユーティリティクラウド」という構想を立ち上げました。わが社が数年前から取り組んでいるFIELD(フィールド)システムはエッジと呼ばれる、現場完結型のシステムです。しかし、遠隔保守となるとクラウドも必要です。自社の経営資源は有限ですから、クラウドが必要であればクラウドが得意な富士通やNTTコミュニケーションズと組むのが得策と考えました。
――具体的にはどんなサービスが今後デジタル化できるのでしょうか。
例えばQRコード(2次元コード)を使った問い合わせシステムがあります。わが社の装置にトラブルが発生したとき、装置のラベルにあるQRコードをスマートフォンなどで読み取っていただければ、その装置の機種名、個体番号などのデータが簡単に分かります。さらに会社名や連絡先などのお客さま情報と問い合せ内容を送信していただけば、コールセンターにその内容が届きますので、コールセンターから電話やメールなどで即座に回答できます。