生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.07.07

「ライン全体の自動化を支援」、協働ロボ専業SIerの次の一手/IDECファクトリーソリューションズ武仲清貴社長

IDECファクトリーソリューションズ(愛知県一宮市)は協働ロボット専業のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。今年4月には制御盤の製作やワイヤハーネスの組み付けを担う新工場を稼働した他、スキューズのファクトリーオートメーション(FA=工場自動化)事業も譲り受けるなど、事業拡大の手を緩めない。武仲清貴社長は「2026年3月期には50億円、将来は100億円の売上高を目指す。従来は協働ロボットで特定の工程を自動化するのが中心だったが、今後は生産ライン全体の自動化も支援したい」と意気込む。

協働ロボットシステムの生産能力を3倍に

新工場のワイヤハーネスの組み付けエリア

――新工場が4月1日から稼働しました。
 新工場では、主に制御盤の製作やワイヤハーネスの組み付けを手掛けます。わが社の売り上げの大きなウエートを占める制御システム事業を強化するのが狙いです。足元では主要顧客の半導体業界や物流業界の需要が活発で、制御システムの生産能力を強化してニーズに応えます。新工場は鉄骨造の地上3階建てで、延べ床面積は約2800㎡。3階でワイヤハーネスの組み付けをし、1階と2階で制御盤を生産します。1階の一部のエリアでは協働ロボットシステムも製作します。最新のモノのインターネット(IoT)技術を導入して生産工程の進ちょくを可視化したり、自社で取り扱う自律走行型の搬送ロボットを使って部品や完成品の搬送を自動化したりと、生産効率を高める工夫を取り入れました。制御システムの生産能力は従来の2倍に拡大する見込みです。

部品や完成品の搬送に搬送ロボットを活用

――SIer事業で培った自動化技術も取り入れた。
 その通りで、新工場にいらした方には搬送ロボットも見ていただきたいと思っています。搬送ロボットがエレベーターに乗って各階に部品や完成品を搬送しています。エレベーターに乗る時はボタンを押して行き先を指定しなければなりませんが、無線通信の技術を応用することで人が介在することなく、搬送ロボットがエレベーターに乗って行き先の階まで昇降できるシステムを構築しました。制御盤関係のビジネスで培ったノウハウを生かし、エレベーターと搬送ロボットを連携させました。

新本社工場の完成予定イメージ

――来年には本社も建て替えます
 新工場の向かいの敷地に新本社工場を建設します。今年5月に着工し、来年3月に完成する予定です。このほど稼働した新工場と合わせ、合計で約14億円を投じます。新本社工場も鉄骨造の地上3階建てで、延べ床面積は約2900㎡です。1階には協働ロボットの技術提案拠点「協調安全ロボットテクニカルセンター」と、協働ロボットシステムの生産エリアを設けます。2階には会議室や大型のセミナールームが、3階には設計や営業、経営管理などの事務エリアがそれぞれ入ります。現在、協調安全ロボットテクニカルセンターは本社のすぐ近くにありますが、新本社工場の建設を機に移転拡張します。展示エリアは従来の2倍に増える見込みで、協働ロボットシステムの提案をさらに加速させます。生産エリアも大幅に拡張し、生産能力を従来比で3倍に高めます。

――協働ロボット関連のビジネスの景況感はどうですか。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で設備投資を延期する顧客も多く、当初の計画値よりは低い水準で推移しました。ですが、SIer事業の売上高だけを見れば、前年比20%以上を達成できています。最近は自動車業界や住宅機器業界を中心に協働ロボットや搬送ロボットの需要が増えています。特に自動車業界では協働ロボットのトライアルや検証が終わり、いよいよ量産ラインに本格的に導入する動きが出始めました。

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