2024.05.30 連載 [注目製品PickUp! vol.66]薄さと軽さを突き詰めた減速機ユニット/ハーモニック・ドライブ・システムズ「CSF-ULWシリーズ」 Tweet 減速機の大手メーカー、ハーモニック・ドライブ・システムズは2021年、従来の構造を一新した減速機ユニットを発表した。それが超軽量・扁平(へんぺい)ユニット「CSF-ULWシリーズ」だ。従来品と比べて、最大で質量は56%減、厚さは38%薄くできた。さらに、 CSF-ULWシリーズと同様の手法で新製品の開発も進めている。 グッドデザイン賞を受賞 ハーモニック・ドライブ・システムズは21年、超軽量・扁平(へんぺい)ユニット「CSF-ULWシリーズ」を発表した。 減速機ユニットは、核となる歯車と主軸受けやハウジング(ケース)を一体にしたもの。CSF-ULWシリーズでは、ユニット製品の主力「CSF-2UHシリーズ」の構造と設計を一新した。核となる波動歯車装置「CSFシリーズ」をベースとし、主軸受けやハウジングの構造や素材を徹底的に見直した。 従来のCSFシリーズと比べると、どの型番でも「CSF-ULW」が軽量(提供) 従来のCSF-2UHシリーズと比べると、サイズにもよるが最大で質量は56%減、全長は38%薄くできた。一方、同製品のコンセプトである軽量と扁平を実現するため、出力軸の許容モーメント荷重(許容できる伝達トルクの大きさ)を下げる決断をした。 「軽くて薄い利点を取るか、許容モーメント荷重の大きさを取るかは用途により使い分けてほしい」と開発・技術本部の木野学副本部長は話す。 2022年度には日本デザイン振興会の「グッドデザイン賞」も受賞するなど、対外的にも高く評価されている。 ロボ先端や協働ロボに向く CSF-ULWシリーズを使った4軸の多関節ロボット CSF-ULWシリーズが向く用途は、産業用ロボットのアームの先端に近い軸や協働ロボット、各種機械装置の可動部に搭載される機器などだ。 単純に考えると、ロボットに搭載される減速機が軽量になると、その分、ロボットの可搬質量を増やせる。また、ロボットの先端軸や各種装置の可動部が軽くなると、動作スピードを上げられる。減速機が薄くなると、ロボットや装置の関節部も小型にできる。 そもそも、同社が得意にする波動歯車装置は他の歯車に比べても薄型で減速比が高く、同時にかみ合う歯数が多いため、伝達トルクも高いのが特徴だ。 さらに、内歯車と外歯車がかみ合う際に、バックラッシも生じない。そのため、位置決め精度も高い。 こうした特徴もあり、小型で精密な産業用ロボットを中心に高いシェアを持つ。 波動歯車の仕組み(提供) 原理説明の動画 12