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2024.12.25

塗装工程のコストとCO₂排出量の削減を目指し、ESSと提携/ABB

 スイスのロボットメーカーのABBは12月16日、オーストリアに本社を置くEngineering Software Steyr(ESS、エンジニアリング・ソフトウエア・シュタイアー)と戦略的提携を結び、自動車の塗装工程向けのシミュレーションツールを共同開発すると発表した。ABBは少数株主としてESSに出資する。出資額は非公表。

 ESSは精密塗装のシミュレーションソフトを開発、販売する。今回の提携で、塗装工程における粉塵(じん)や飛沫の挙動、熱伝導、流体の動きをシミュレーションするアルゴリズム(データ処理手順)の開発を加速させる。
 一般的に自動車の塗装工程は脱脂や電着塗装、シーリング、スプレー、焼き付けなど20以上の個別の工程で構成されており、オペレーターは工程ごとに材料の粘度や接着性、乾燥時間などさまざまなパラメーターを検討する必要があった。新モデルの量産開始前にはこれらのパラメーターを最適な値に調整する必要があり、多くのコストと時間を要していた。
 両社はこうした作業を効率化するシミュレーションツールを共同開発し、塗装工程のコストを最大30%削減する他、自動車の新モデルの開発期間も最大1カ月短縮する。

 ABBロボティクスのディビジョンプレジデントのマーク・セグーラ氏は「年間30万台の車両を生産する自動車メーカーがこの革新的なソリューションを使えば、二酸化炭素(CO₂)排出量を年間約1万7000t削減できる可能性がある」と語る。

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