生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2019.03.14

記者もやってみた! 触れた瞬間「ピタッ」と止まるロボット用安全カバー【後編】/三重ロボット外装技術研究所

三重ロボット外装技術研究所(三重県四日市市、森大介社長)が開発した、接触検知機能を備えたロボット用安全カバー「YaWaRaKa(柔らか)ロボD」が産業用ロボットメーカーやサービスロボットメーカーなどから注目を集めている。柔らかロボDの最大の強みは、何かが触れた瞬間に「ピタッ」とロボットを停止させること。柔らかくて人に優しい素材であるウレタンをカバーに採用したのもポイントだ。前編では記者の体験を中心に、柔らかロボDの特徴や仕組みを紹介した。後編では、柔らかロボDに関するビジネスモデルなどを取り上げる。

ライセンス料で収益を得る

国内外のロボットメーカーなどから引き合いがある柔らかロボD

 単純な仕組みでロボットを停止でき、ウレタンを採用したことで量産性にも優れる柔らかロボD。
 そのシンプルさが支持され、大手産業用ロボットメーカーやサービスロボットメーカー、FA機器メーカーからの引き合いが伸びている。

 だが、森社長は「メーカーとして柔らかロボDを外販するつもりはない」と言い切る。
 同社が目指すのは、産業用ロボットメーカーやサービスロボットメーカーに柔らかロボDの特許技術を供与し、そのライセンス料で収益を得るというビジネスモデル。つまり、顧客は“ロボットのユーザー”ではなく“ロボットメーカー”だ。
 そのため同社は、柔らかロボDの接触検知機能や内部構造などの国内特許や周辺特許をいくつか保有する。海外の特許も申請中という。

 また、現在は自社で柔らかロボDを製造しない。製造の工程は全て外注に回し、自社ではものづくりの上流工程にあたる設計を担う。

展示会で接触検知のニーズつかむ

「自動車産業が好調なうちに新しいことをやる必要性があった」と振り返る森社長

 そもそも、同社がロボット用外装カバーの開発を始めたのは2012年。当時は三重木型製作所という社名で、自動車部品の試作などを手掛ける町工場だった。
 「まだ自動車向けのビジネスが好調だったが、いつ仕事がなくなるかも分からない。自動車産業が好調なうちに新しいことをやる必要性を感じた」と森社長は話し、次世代産業として当時注目されていたロボット産業への進出を決めた。

 自動車部品の試作で培った加工技術を生かし、ウレタン製のロボット用の安全カバーである柔らかロボDを14年に開発した。森社長は「当時は金属がむき出しのロボットが主流だった。だが、人とロボットが共存する未来を考えると、安全のためにも絶対に何か柔らかいものをロボットに被せる必要があると判断した」とロボット用のカバーを開発した経緯を振り返る。

TOP