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2025.02.10

実証事業の成果発表で、オフィス警備と清掃の自動化デモ披露/Octa Robotics

Octa Robotics(オクタロボティクス、東京都文京区、鍋嶌厚太社長)は1月21日、都内で経済産業省の「令和6年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の成果発表会を開いた。会場では、施設のセキュリティーを維持しながら清掃ロボットを稼働させる方法のデモも披露した。実証試験の結果を、ロボットの運用しやすい環境整備や規格の制定につなげる。

複数のロボットを連携

「ロボットと設備の連携を実現する」と語る鍋嶌厚太社長

 オクタロボティクスは経済産業省の補助事業の支援を受け、ロボットを稼働させやすいロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境構築のための実証事業に取り組んだ。
 実証では同社のインターフェース「LCI」を活用し、移動式ロボットがエレベーターや自動ドアと連携して移動できるようにした。鍋嶌社長は「LCIを使えばメーカーを限定せずロボットと設備の連携を実現できる。元々はサービスロボット向けに開発したが、物流現場での搬送用ロボットの運用などにも使える」と説明する。

警備ロボットが警備システムを一時停止してから清掃ロボットが稼働

 同事業では5つのテーマに対して計7社と共同で研究開発に臨み、その成果を発表した。そのうち「ロボット・セキュリティー連携技術」のテーマについては、大和ライフネクスト(東京都港区、斉藤栄司社長)とALSOKと協力した。成果発表会が開かれた大和ライフネクストの本社ビル1階が実証試験の場であり、当日はデモも披露した。

 夜間の人の侵入を防ぐために機械警備システムが稼働するビル内で、いかに清掃ロボットを運用するかがこの研究開発のテーマだ。ただ清掃ロボットが稼働すると警備システムに検知されてしまうため、清掃ロボットの動きに合わせて警備システムを一時的に停止させる必要がある。
 大和ライフネクストのデジタルアセットマネジメント推進課の原澤春志さんは「わが社が管理するある施設では、警備員が清掃ロボットを作業場所に持ち運んで起動し、別の警備員が適宜システムの一時停止や再開をしている。だが人手不足や人件費高騰などから、必要な人員を減らせる運用方法を検討していた」と話す。

警備ロボットと自動ドアが連携する様子

 そこで警備システムとロボットとの連携方法を3パターン試した。最もセキュリティーを維持できる方法は、警備ロボットが先行して移動し警備システムを一時停止してから、清掃ロボットを稼働させる方法だった。この方法であれば清掃ロボットが警備システムに検知されることはなく、また警備ロボットがエリアの出入り口で周囲を監視することで清掃中の人の侵入も防げる。ただ、清掃ロボットに加えて警備ロボットも使うことになる点や、それらの移動タイミング、経路を調整する必要がある点などは課題となる。他のパターンのメリットやデメリットも踏まえ、規格化に向け研究開発を続けるという。

「ロボット導入のために環境整備が必要」と語る板橋洋平ロボット政策室長補佐

 当日は経済産業省製造産業局の板橋洋平ロボット政策室長補佐も登壇し「ロボット導入における諸課題を、各メーカーが個社のみで解決しようとすると製品の性能が過剰になったりコストがかさんだりする。そのためユーザー側からも環境整備に取り組む必要がある。経済産業省の補助事業は開始してから今年で5年目となり、集大成となるような成果が出てきた。こうした成果をロボットの導入しやすい環境の整備につなげたい」と語った。

(ロボットダイジェスト編集 水野敦志)



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